【 放射線教育(5) 】 関心つなごうと工夫

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【 外遊びと発達(5) 】 関心つなごうと工夫

霧箱の内部に目を凝らす遠藤君(左)。自然界の放射線について知った=5月14日、三春町

 「あっ、出た」。手にしたライトで照らしながら容器の中をのぞき込んでいた生徒から歓声が上がった。

 三春町に仮設校舎を置く富岡小・中学校で5月14日に行われた放射線授業。中学1年の生徒は「霧箱」を自分で組み立て、放射線の筋状の飛跡を観察した。霧箱は、ドライアイスで冷やした容器の中にアルコールの霧を発生させ、放射線を見られるようにした装置。「実験を通じて子どもたちの関心を引きつけていきたい」と、富岡一中校長の阿部洋己(50)が用意した。

 授業では、放射性カリウムなどの放射性物質が原発事故前から身近にあることも説明された。遠藤雅也(12)は感想を書いた。「自然放射線が自分たちの食べものからも出ていると知り、少し驚きました」

 原発事故から5年目。教育現場は子どもたちの放射線への関心をつなごうと工夫を重ねている。

 原発作業員を招く

 郡山市の郡山六中。白い防護服にマスク姿の男性が教室に足を踏み入れると、空気ががらりと変わった。2月の授業。「そろそろ、現場で一生懸命働いている人がいることを学んでほしい」と、教諭の佐々木清(59)は福島第1原発で働く作業員を授業に招いた。

 2013(平成25)年に汚染水の海洋流出が問題化した際は、第1原発のタンク群について生徒たちに調べさせた。「毎年課題は変わる。タイムリーな話題でないと、生徒も食いつかない」と佐々木は考える。

 事故知らない世代

 原発事故を知らない世代への教育も今後の課題だ。5月29日、伊達市の伏黒幼稚園で市教委の菅野陽子(57)が園児らに問い掛けた。「朝、パンを食べた人」

 「はーい!」

 菅野は続けた。「実はそういう食べ物にも、ちょっとずつ天然の放射性物質が含まれています」

 自然界の放射線や、事故で放出された放射性物質について説明した。「きょうは部分的な記憶だけでいい。小学校でまた学んだ時、『聞いたことある』って思ってもらえれば」と言う。

 長女そら(3)と共に話に聞き入った佐々木直美(40)は、自宅で放射線を話題にしたことはなかったが、この日聞いた内容を親子で話し合ってみたいと感じた。「福島県内で生活しているのだから、知っておかなければいけないと思う」(文中敬称略)