【水戸街道・全2回(2)】 大スギ見守る「境内の道」

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 
八槻都々古別神社境内の西側には、かつての水戸街道がそのまま残されている

 水戸街道をたどる旅は白河市を越え、古き良き城下町の風情を残す棚倉町に入った。

 市街地を走る、かつての街道の旧国道118号沿いには商店が軒を連ねる。棚倉城跡に向かって進むと、西側に堀が見えてきた。堀に沿って直角に曲がる道の造りが「いかにも城下町」といった感じだ。城跡は町中心部に位置する。街道に面した追手門入り口には、来客を迎えるかのように、推定樹齢600年の県指定天然記念物の大ケヤキがそびえ立つ。

 脇の案内板に目をやると、棚倉城が築城された1625(寛永2)年以前に、この場所にあった近津神社の御神木と書かれてある。

 近津神社は棚倉城の築城に伴い、馬場都々古別神社(ばばつつこわけじんじゃ)として城の西側に遷宮された。

 高さ約30メートル、幹の太さ約9.5メートルの巨木は地域に暮らす人々を長い間、見つめてきた。町の歴史の深さを物語るシンボルのような存在。堀にはサクラやツツジ、モミジなどが植栽されており、美しい花が季節を知らせてくれそうだ。

 城跡を過ぎ、旧国道118号沿いを南下。山沿いを通る国道118号バイパスと合流する道をさらに進むと、いくつものスギの大木が姿を現す。街道沿いの宿駅の一つ、八槻(やつき)宿にある奥州一宮・八槻都々古別神社だ。

 鳥居の先にスギの大木に囲まれた随神門、奥には朱色の拝殿が見え、境内の西側には街道がそのままの姿で残されている。

 神社は江戸時代、北の馬場都々古別神社、茨城県大子町にある南の下宮近津神社と合わせて「近津三社」と呼ばれた。毎年2月には400年以上前から伝わる伝統行事で国無形重要文化財指定の「御田植祭(おたうえさい)」が行われる。

 神社周辺には、江戸時代の武家屋敷やかやぶき屋根の民家が点在し、歴史を感じさせる街並みが広がる。棚倉町観光協会八槻支部長の古市泰久さん(67)が「神社周辺の人たちが景観や伝統を守ろうと、家を代々受け継ぎ、今の姿が残されている」と教えてくれた。古民家が観光資源となり、かつての宿駅に人を呼び込んでいる。

 八槻宿を離れ、塙町方面へ南進すると、棚倉、塙両町境で、街道は国道118号と県道矢祭山―八槻線の二手に分かれる。平潟街道との分岐点である。

 現在の国道を通る平潟街道は、塙町の中心部を通り、いわき市や茨城県北茨城市方面に向かう。江戸時代は「塩の道」と呼ばれ、棚倉藩が「飛び領地」として所有していた北茨城市の平潟港から塩や海産物、鉄などを、棚倉からは材木やコメなどを運ぶ重要な輸送路だったという。

 平潟街道を横目に水戸街道を進み、初めに見える集落が江戸時代に宿駅として栄えた台宿。現在の宿泊施設に当たる「旅籠(はたご)」は廃業したが、当時の家屋が、宿場町だったかつての面影を醸し出す。

 地元の歴史に詳しい塙町文化財保護審議会委員の金沢陽太郎さん(78)は、台宿周辺の道幅が昔も今もさほど変わらず「当時としては広い道だったことが分かる」と話す。目を閉じると、街道を盛んに行き交う旅人の姿が浮かんできた。

 街道の東に広がる久慈川沿いの田園と、西に見える八溝山系の山林が日本の原風景を思わせる。途中、材木などを運ぶトラックと何度もすれ違った。江戸時代から搬路となってきたこの道の役割は時が流れても変わらないようだ。

 道沿いには昔の姿をそのまま残した家屋があり、伝統や景観を守りたいという地域の人々の思いが根付いていた。

水戸街道

 【 記者の「寄り道」スポット 】

 棚倉町下山本にあるJA東西しらかわの農産物直売所「みりょく満点物語」(電話0247・33・1212)は新鮮な農産物が並ぶ販売スペースに加え、牛乳の殺菌設備を備えたミルク工房、地元産野菜を使った料理が味わえるレストランを併設している。ミルク工房の人気商品のソフトクリーム(小220円、大310円でいずれも税込み)=写真=は低温殺菌製法で処理された牛乳を使用。さっぱりとした甘さと牛乳のこくが味わえ、好評だ。

水戸街道

 塙町伊香にある木の博物館(電話0247・43・1480)=写真=は木の魅力を感じられる施設。六つに分かれた展示スペースにはトチやカシ、カキなどさまざまな材木を使ったテーブルやたんす、食器など職人手作りの木製家具などが飾られている。開館時間は午前9時~午後5時。入場料は大人500円、子ども(小学生以下)300円。元日以外無休。

水戸街道

 塙町伊香の中華白河屋(電話0247・43・4888)は自家製手打ち麺にこだわったラーメンが味わえる。人気の担々麺(税込み850円)=写真=は自家製ラー油と一味トウガラシの辛さが特徴で、辛さは5段階から選べる。ひき肉や野菜などの具材のうま味と辛さが調和した鶏ガラスープは中太ちぢれ麺によく絡み、癖になる味わい。定番のラーメンやギョーザも人気があり、県内外から多くの人が足を運ぶ。営業時間は午前11時~午後7時。毎週木曜日が定休。

水戸街道