【 山口合名会社 】 会津一古くて新しい<会津若松市>

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工程の中で行われる酒の瓶詰め作業をする従業員

 旧字体で「會州一」のラベル。独特の書体が目を引くが「昔はこの3文字が読めないとも言われた」と、山口合名会社(会津若松市)の山口佳男社長(59)=写真・下=は「会津で一番の酒」を意味する酒のエピソードを苦笑いしながら話してくれた。

 社員は山口社長、代表社員のゆり子さん(55)夫妻。杜氏(とうじ)の桜井光治さん(56)ら従業員が季節に応じて働く。「配達、営業も私一人でこなしている」と、会社のやりくりを語る山口社長だが表情には笑みが浮かぶ。「製造数量が少ないこともあり、あんまり取引先を増やせない」と語り、「顔が見えない商売ではお客さんに失礼だろう」と現状に満足げだ。

 都内の大学を卒業後、会社勤めを経て25歳で帰郷。「昭和30~40年代は会津の酒蔵は景気が良くて活気があった。うちにも新潟から杜氏が住み込みで10人以上来ていた」と懐かしむ。

 「會津一」はすっきりしていて適度なコクと柔らかい甘みが特徴。山口社長のお勧めは「純米吟醸」で、常温でも冷やでもいける。ただ「キンキンに冷やしてもいいが飲む前に冷蔵庫から出して落ち着かせた方がいい」と話してくれた。

 「福島ほど蔵元同士が情報交換している県はない。商売敵なのに互いに行ったり来たりして勉強している」と語りながら「人気の流れはあと2、3年続くかどうか。その時にきちんとした蔵でいられればいい」と山口社長。会津で最も古く、その一方で一時的な休業後に再生して最も新しいともいえる酒蔵を背負っている山口社長の言葉は重く感じた。


山口合名会社

 藩祖とともに会津入り
 1643(寛永20)年創業の老舗酒蔵。会津藩祖保科正之が出羽山形から移封された際、初代山口儀平が一緒に会津に入って以降、藩の領内酒造元総取締役を長年務め酒蔵の基礎を築いた。昭和初期には全国清酒品評会で1位に輝く。1944(昭和19)年に「山口儀平商店」から会社組織に変更して「山口合名会社」となる。2005(平成17)年に関連会社の経営破綻で一時休業したが、07年に事業を再開した。山口合名会社(電話)0242・25・0054

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