【 番外編 】県清酒アカデミー指導技術者・鈴木賢二さんに聞く

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すずき・けんじ 三春町出身。岩手大農学部農芸化学科卒。県採用当時はみそやしょうゆ、納豆などを研究。1993(平成5)年から酒類を担当。

 高い品質を誇る本県の日本酒。「日本一の酒どころ」の地位を確かなものにすべく、県清酒アカデミー職業能力開発校で指導技術者として活躍する鈴木賢二県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター醸造・食品科長(55)に、全国新酒鑑評会金賞受賞数が4年連続日本一になりえた「秘策」を聞いた。

 技術交流ハイレベル 日本一は偶然ではなく必然

 ―4年連続日本一に輝いた要因は。
 「第一に人材育成のシステムが確立されている点。1992(平成4)年設立の県清酒アカデミー職業能力開発校は数多くの卒業生を輩出しているが、毎年カリキュラムの見直しが図られ、生徒の意見を聞き、翌年はより密度の濃い内容にしている。95年に発足した高品質清酒研究会は通称『金とり会』とも呼ばれ、そこでは各蔵の門外不出だった技術を包み隠さず公開し、ハイレベルな技術交流につなげている」

 ―本県の風土も良い酒造りに影響しているか。
 「夏の高温は稲作に適し、冬の寒冷な気候は雑菌の少ない澄んだ空気を生み出す。北では寒すぎるし、南では暖かすぎるだろう。本県は酒造りには最適な気候と言える」

 ―普段良い酒を造っていても、新酒鑑評会で金賞をとるのが難しい場合もある。
 「審査の時にちょうどいい味に仕上がるよう、保管のされ方や熟成の進み方まで計算しなければならない。本県の躍進の背景には各蔵の努力が隠れており、日本一は決して偶然ではない。努力し、ハイレベルな酒を造ってきた必然の結果だ」

 ―県産日本酒の特徴は。
 「芳醇(ほうじゅん)、淡麗、旨口(うまくち)と表現でき、香りが高く軽やかで、スッキリとした味わい。そして日本酒本来の味と適度な甘味が楽しめることを目標にしており、あまりお酒が飲めない人でもおいしいと感じてもらえるはず。30代ぐらいの女性が好んでくれるような味に仕上がれば上を目指せる。今や追われる立場となったが、5年連続の日本一を達成し笑顔になれるよう期待する」

  山形と3年連続トップ争い 

 全国新酒鑑評会では、本県と山形県が過去3年にわたって、金賞受賞銘柄数でトップ争いを繰り広げている。山形県酒造組合は同県などと協力して1984(昭和59)年から酒米の開発を続けているほか、県内蔵元が連携した「山形県研醸会」による研究などを通じ、蔵元全体のレベル向上に取り組んでいる。

 現在、山形県内の蔵元の多くがオリジナル酒米「出羽燦々(さんさん)」を使用した酒造りを行い、今年も新しい酒米がデビューを予定する。山形県工業技術センターへの研修制度や研醸会を通じた醸造技術向上の取り組みは人材育成にもつながり、特に近年は一般酒から、吟醸酒など高級酒シフトが進んでいる。

 山形県酒造組合の小関敏彦特別顧問(60)は「東北は福島県も含め、各県の組合間の連携が進んでいる地域。今後もより一層連携を深め、山形だけでなく東北の酒のブランド向上に取り組みたい」と本県と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、極上の酒造りを目指している。