【 番外編 】県酒造組合会長・新城猪之吉さん 県産で真の日本一へ

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しんじょう・いのきち 会津若松市出身。慶大法学部卒。修業を経て1979(昭和54)年に実家に戻り、94年から末廣酒造社長。猪之吉の名を代々襲名している。7代目。2010年から県酒造組合会長。

 全国新酒鑑評会での金賞受賞数日本一を4年連続で達成している本県は県産清酒のさらなる躍進とブランド力向上に向け、5連覇を目指す。今や全国の目標となった本県では各酒蔵の酒造りも本格化しており、蔵人たちの繊細な作業が続く。

 「金」取れるコメ開発急務

 「もちろん5年連続を目指すが、目標はもっと先にある」。県酒造組合の新城猪之吉会長(66)は全国新酒鑑評会での金賞受賞数日本一に意欲を燃やす一方、さらに高い理想を掲げる。

 新城会長がこだわるのは県産米を使った酒造りだ。本県の金賞受賞酒は多くが酒造好適米の代表と言われる兵庫県産の山田錦を原料に使っており、新城会長は「人のふんどしで相撲を取って日本一になっているようなもので、安定的な供給には不安が残るし、"地酒"という言葉を使うには疑問が残る」と指摘する。

 本県も酒造好適米を開発しているが、新潟県など酒どころの他県も積極的に県産米の開発に挑戦している現状があり、新城会長は「新潟県あたりが開発に成功すればかなりの脅威だ」と語る。

 「本県は食味が良いコシヒカリさえ作っていれば農家を続けていける時代が長かった。良い酒米を作ることに考えが及ばなかった部分もあるかもしれないが、コメのマーケットも日々変化し厳しくなっており、金賞レベルの酒米を開発し、安定的に栽培できるようにすることが急務だ」。新城会長は"強い"酒造好適米の開発に期待する。

 また、日本酒業界の経営の厳しさが指摘されていることもあり、新城会長は「県民に安価な『普通酒』よりも純米酒や吟醸酒などの『特定名称酒』を日常的に楽しんでもらいたい」と期待する。

 「各蔵元も普通酒に頼っていては厳しい」と展望し、県や各市町村に乾杯条例の制定を働き掛け日本酒の消費を伸ばしていく考えを示した。

 金賞受賞数の5年連続日本一に向けては「既に各蔵元が造りに入っており、今までの造りを信じ、あとは天に祈るばかりだ」と話す。

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 国内外に魅力アピール

 「日本一の酒」を全国に売り込もうと県内の酒販店も力を注いでいる。福島市のコラッセふくしま1階にある県観光物産館には県内36蔵元の日本酒が並ぶ=写真(下)。担当者によると県外から毎月、県産清酒を求めに訪れる客もいるという。

多彩な県産日本酒が並ぶ県観光物産館

 「大吟醸クラスだけでなく、純米酒もレベルが高く、おいしい」。福島市で業務用の酒類販売などを手掛ける杉本商店の杉本渉専務(38)は「本県日本酒の魅力は市販酒の質の高さにある」と強調。「大吟醸酒と純米酒では価格の差があるが、味には価格ほどの差がない」と話す。
 東京・上野では26日、本県の酒の魅力を発信する利き酒・即売会「さすけねぇ!!」が開かれた。風評払拭(ふっしょく)を目的に2011(平成23)年10月から開かれ、13回目。9月にも開催を予定する。

 主催者の一人で、橘内酒店(福島市)社長の橘内賢哉さん(47)は「飲んでもらえれば、おいしさは必ず伝わる」と本県日本酒に自信をのぞかせる。今後とも東京発信や会員制交流サイトなどを通じて国内外に「ふくしまの酒」を積極的に売り込んでいく考えだ。

 ◇「ふくしま美酒探訪」は今回でおわります。