【 番外編 】県清酒アカデミー 卒業生活躍!次世代の造り手育成

 
酒蔵見学で酒造りの知識を深めるアカデミー生=喜多方市・笹正宗酒造

 全国新酒鑑評会で金賞受賞銘柄数4年連続日本一に輝いた本県の日本酒。「ふくしま美酒探訪」(2015年12月7日~17年1月30日)では、県内52蔵元を紹介し、本県日本酒のおいしさ、魅力を探った。番外編として、後継者育成など、「ふくしまの酒」造りを支える取り組みなどを振り返る。

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 喜多方市の笹正宗酒造。県酒造組合が運営する県清酒アカデミー職業能力開発校25期生が3日、仕込み作業の続く酒蔵を訪れ、酒造りの工程や設備などに理解を深めた。参加した峰の雪酒造場(同市)の二階堂桂司さん(31)は「将来、杜氏(とうじ)を名乗れるよう勉強したい」と意欲をみなぎらせる。

 25年前の1992(平成4)年に開講した「清酒アカデミー」には現在、37人の酒造関係者が日本酒造りの基礎から応用までを学ぶ。卒業生は256人を数え、現在、本県の酒造りを担う造り手たちの多くがこの「学びや」の卒業生だ。

 開講当時の本県は、蔵元の後継者不足が最大の課題だった。「酒の趣向が変わり、酒の質が問われ始めていた。若手の育成と技術向上が必要と大きな危機意識があった」と同組合の阿部淳専務理事(59)は話す。アカデミーは日本一の酒どころだった新潟県の取り組みを参考に県技術者研修として始まり、翌93年、県清酒アカデミー職業能力開発校と改称した。酒造関係者が、酒造りだけでなく酒税法など3年間で100時間以上の幅広いカリキュラムを学ぶ。

 指導役は県ハイテクプラザの研究者や県内蔵元のベテランたち。カリキュラムを通じて生まれた絆は、卒業後の交流や醸造技術の向上にも効果を上げ、蔵同士が独自技術を持ち寄って情報を共有し、日本一の原動力にもなった「高品質清酒研究会」の活動にもつながっている。
 「アカデミーで学んだ造り手たちが福島の日本酒のレベルを上げ、そこに魅力を感じる若手が学ぶ環境も充実している。それが今の若手杜氏の活躍にもつながっているのではないか」と阿部専務理事。今もアカデミーでは次世代を担う杜氏たちが育ち始めている。