【 喜多の華酒造場 】 危機からの返り咲き<喜多方市>

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瓶詰め作業を行う星敬志社長。急冷で鮮度を保ったまま出荷される=喜多方市・喜多の華酒造場

 今年の全国新酒鑑評会で「大吟醸きたのはな」が10年ぶりの金賞に選ばれた喜多の華酒造場(喜多方市)。普通酒から大吟醸酒まで多彩な銘柄が並ぶ店内で「喜多の華」のラベルに飾られた三つの星が鮮やかに輝く。星の数は専務の星慎也さん=写真・下=(35)、里英さん(32)夫婦が酒造りを担当した年数だ。

 数年前に廃業の危機に陥った。社長の敬志さん(66)は3人の子どもに恵まれたが、いずれも女性で後継者問題に悩まされ、蔵を畳むことを考えていた。そんな2013(平成25)年秋、印刷会社の営業マンだった東京都出身の慎也さんが長女里英さんの婿として酒造りを決意した。「右も左も分からない状態だった」と振り返るが、酒類総合研究所や県清酒アカデミー職業能力開発校で基礎を学びながら、杜氏(とうじ)への道を歩み始めた。

 酒米の王様と称される「山田錦」で2人が初めて仕込んだ大吟醸酒は、華やかな香りと甘みでバランスが絶妙だ。「大吟醸は冷やがお薦め。純米吟醸は酸味や切れがあり、肉料理の脂っこさをリセットしてくれる」と慎也さんは太鼓判を押す。鑑評会の出品酒には、酒袋に入れた「もろみ」をつるして滴り落ちる酒だけを集める「しずく取り」の技術も取り入れた。

 保管用の冷蔵庫導入や蔵の壁を漆喰(しっくい)に塗り替えるなど、「酒造りの意識が向上するよう、毎年どこかを変えている」と環境面から蔵の改革を進めている。「日本酒を飲むきっかけになるような酒をつくりたい」と慎也さん。酒造りの夢は大きく膨らむばかりだ。

「日本酒を飲むきっかけになるような商品をつくりたい」と語る星慎也専務

 酒づくり講座受け入れ
 「星正宗」の銘柄で1919(大正8)年に創業。一時廃業となったが、「酒のまち喜多方で一番を目指す」などの願いを込め、戦後に「喜多の華」として復活した。3代目の星敬志さんは県酒造組合喜多方支部長を務め、市民がオリジナルの地酒づくりを体験できる「知的のんべえのための酒づくり講座」の受け入れなど日本酒ファンの拡大や喜多方の魅力発信に力を注いでいる。蔵の見学や試飲も可能。喜多の華酒造場(電)0241・22・0268

今年の全国新酒鑑評会で金賞に輝いた「大吟醸きたのはな」(中央)などの多彩な商品