【 有賀醸造 】 『納得いく味』徹底研究<白河市>

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蒸したコメの温度管理を行う蔵人たち=白河市・有賀醸造

 白河市東釜子地区に広がる肥沃(ひよく)な田園地帯で、伝統を紡ぎながら新たな酒造りに挑戦する蔵人たちがいる。有賀醸造の純米酒「有の川」は、食卓に欠かせない酒として、地域の人たちに、にぎわいと安らぎを届けている。

 同蔵杜氏(とうじ)の有賀裕二郎さん(32)=写真・下=は、東日本大震災をきっかけに実家である同蔵に戻り「古里のために何かしたい」との思いで、酒造りを始めた。震災前は、大学院で生命科学を専攻する研究員だった。蒸したコメの水分含有量や温度管理などのデータ分析、微生物への配慮など酒造りは研究作業と共通点が多く、作業は順調に進んだ。普通酒が主だった同蔵で2013(平成25)年ごろから、特定名称酒に挑戦。知識を生かし、新銘柄の大吟醸「陣屋」などを完成させた。

 「この味が造りたい日本酒なのか」。出来上がった商品を県内の販売店に持っていった時、店主からの思いがけない返答に有賀さんは言葉を失った。蔵に戻り麹(こうじ)や仕込みで使う那須連峰の中硬水、原料米の配合などを一から見直した。数年の試行錯誤の末、納得のいく味にたどり着き、7月に都内で開かれた品評会「サケコンペティション2016」で「陣屋 特別純米」が金賞を初めて受賞した。

 「爽やかな酸味、果実のような吟醸香。冷やでも燗(かん)でも良い。季節の野菜に合う」と魅力を解説。「日本酒で福島や日本の文化を発信したい」と思いを語り、飽くなき探求心でさらなる飛躍を誓う。




有賀醸造

 故三船敏郎氏訪れサイン
 1774(安永3)年創業の江戸時代から続く歴史ある蔵元。越後高田藩の飛び地として釜子村(現在の白河市東釜子地区)に陣屋が設けられ、大名から酒造りの命を受けたのが始まりとされる。俳優の故三船敏郎氏が蔵を訪れたこともあり、蔵にはサインなどが飾られている。約20年前から女性向けマッコリ「霧の花」なども製造し、県外でも人気を博している。オリジナルボトルの酒造り体験もできる。有賀醸造(電話)0248・34・2323

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