浪江の日本酒...香港に輸出、「磐城壽」の鈴木酒造店 7銘柄提供

 
香港に輸出した鈴木酒造店の日本酒など

 浪江町の鈴木酒造店は、浪江産のコメと水を使い、町内で製造した日本酒を初めて香港に輸出した。東北の食産業の復興に取り組む一般社団法人「東の食の会」(東京都)の協力を得た取り組みで、25日から香港の日本酒販売店・バー「Sake Central(サケセントラル)」で提供が始まった。

 東京電力福島第1原発事故で避難した山形県長井市の「長井蔵」で製造した日本酒を香港に輸出したことはあったが、原料や製造場所が浪江産の日本酒を輸出するのは初めて。主力銘柄の「磐城壽」などを輸出し、販売している。鈴木大介社長は「浪江の素材にこだわった酒。香港の方にも浪江の風土を感じてもらえればうれしい」と話した。

 今月24日には福島第1原発事故から処理水の海洋放出が始まったばかり。サケセントラルの遠藤隆史さんは「処理水の放出により、香港の一部のお客さまは心配しているが、応援してくれる人もいる。浪江のおいしいお酒を伝え、広げていきたい」と話した。バーでは計7種類の酒を順番に楽しめる特別メニューを提供し、好評を得ているという。

 東の食の会は今回、鈴木酒造店と香港の販売店を仲介し、輸出の実現に向けて支援した。これまでにもタイ・バンコクに本県産「常磐もの」の鮮魚を輸出するなど、海外への販路開拓やプロモーションなどを手がけている。