Eライン

 

 機能性と審美性の改善

 人間の横顔を真横から見た状態で鼻の先端とあごの先端を結んだ線をEライン(エステティックライン、審美線)と呼びます。

 成人の日本人の場合、上下の唇がこの線上、あるいは少し内側にあるものが調和のとれたよい側貌(そくぼう=横顔)とされています。ところが前歯が出ているとそれに伴って上下の唇も突出してしまい、口も結びにくくなり、Eラインから唇が外側にとび出た状態となります。そのような場合、矯正治療を行って前歯を後退させれば、唇もEラインに近づき、口が結びやすくなり、口元もすっきりして側貌の改善につながることになります。

 矯正治療を希望される患者さんの多くは、審美的な改善を強く要求されます。そのため矯正治療後に顔貌の改善が達成されれば、心理的障害も改善が期待できます。治療前は歯ならびと顔貌に対して劣等感をもっていた方が、治療後は性格が明るくなったり、社交的になったりすることも心理的効果の表れです。

 矯正治療の目標は、機能的障害を除去してよい咬(か)み合わせを獲得することはもちろんですが、唇の位置をできるだけEラインに近づけてバランスのとれた良い顔貌を獲得することにあります。すなわち機能性と審美性の改善が治療上の大切な目標です。

(県歯科医師会)