命にかかわる歯周病(上)

 

 早期発見と治療が大切

 35年近く前のこと。「リンゴをかじると歯ぐきから血が出ませんか」というテレビCMが話題になりました。「歯槽膿漏(しそうのうろう)にならないよう、しっかり歯を磨きましょう」といった内容でした。「歯槽膿漏」は歯ぐきから膿(うみ)の出る病気という意味ですが、今では「歯周病」と呼ぶようになっています。

 歯周病は、歯と歯ぐきの間の溝(歯肉溝)に細菌の塊である歯垢(しこう)(プラーク)がたまり、歯周病菌が繁殖して炎症が起こることから始まります。歯ぐきが炎症で腫れると歯肉溝がポケット状に深くなっていきます(歯周ポケット)。そして、より深くなった歯周ポケットを中心にして炎症が広がり、ついには歯を支える土台である骨(歯槽骨)が破壊されてしまうのです。

 若い人などは、「歯周病? オヤジの病気でしょう?」と思うかもしれません。ところが、それは大きな間違い。早い人では、10代からこの病気にかかり始める場合もあるのです。

 歯周病は歯肉炎と歯周炎に分けられますが、歯科疾患実態調査によれば、歯周病の初期症状である歯肉炎には、すでに15〜24歳で50%の人がかかっています。歯周炎は15歳から増え続け、45〜54歳では40%以上になります。

 歯肉炎と歯周炎を合わせると35〜44歳の人の85%、45〜54歳の実に88%の人が歯周病にかかっているという、恐るべき結果となっています。

 歯周病を治す決め手は、何といっても早期発見・早期治療です。どんなささいなことでもまずは歯科医院の門をたたいてみましょう。歯周病は単に歯と歯ぐきの病気ということだけではなく、あなたの命を脅かす全身の病気と関連しているのです。

(県歯科医師会)