部分入れ歯

 

 効果的利用で失う歯少なく

 残念ながら、ある程度歯を失ってしまうと、どうしても「部分入れ歯」を受け入れなければならない時期がやってきます。そんな時、誰しも「どうせいずれは総入れ歯になってしまうんだろうなあ」とあきらめの気分になるものです。

 しかし、決してそうではありません。できる限り失う歯を少なくして、一生総入れ歯にならずに「部分入れ歯」で食い止めることもできるのです。そのためには次のような点に注意が必要です。

 まず、作った入れ歯が「痛くない」「慣れてきた」「噛(か)みやすい」と思っていても、問題のないときほどかかりつけ医での定期的な微調整が必要です。それは毎日調子よく使っている間に、少しずつ噛み合わせの力の分散が変化しているからです。

 噛む力によって、入れ歯の減り、歯肉の痩(や)せ、バネのかかる歯の疲労はじわりじわりと大きくなっているのに、なかなか気付かないものです。ある日突然に入れ歯が破損したり、バネのかかっている歯がぐらついたりして驚きます。こうなる前に少なくとも半年ごとの定期診査を受け、入れ歯と残っている歯の微調整をしてもらうと長持ちします。

 入れ歯の清掃も、歯磨き剤などでゴシゴシ強くこすってはいけません。食器洗い用の洗剤で軽く洗い、バネの内面などは丁寧に小さなブラシで清掃しましょう。

 また、清掃中に風呂場のタイルや陶器の洗面台にうっかり落として破損してしまう方も多くいます。下に水を張った洗面器を置いたり、洗面台の栓をして水をためておくなどの予防策を習慣にしてください。

 もちろん入れ歯だけでなく残っている自分の歯の清掃も大事です。歯があちこち抜けると、歯ブラシの当て方は、意外に難しいものです。定期診査では入れ歯の調整と同時に、残っている歯の清掃の仕方も再度指導してもらうようにしましょう。

(県歯科医師会)