大人むし歯は、痛みがないままに進行することを知っていますか。

　子どもむし歯と大人むし歯は、できる過程が違います。子どもむし歯は痛みが出たり、急に歯に穴が開いたりして歯科医院に行かざるを得ない状況になりますが、大人むし歯は痛みが出にくく自覚症状がないまま進行するため治療が遅れがちになります。

　子どもむし歯は、かむ面のシワのような溝のところが茶色くなり、むし歯ができてきます。その原因は深い溝に食渣（しょくさ）（食べカス）が残るなどしてむし歯になっていくのですが、大人むし歯は子どもむし歯と違い、むし歯ができやすい部位は歯と歯ぐきの境目で加齢や歯周病によって、歯ぐきの位置が下がってくるためです。

　歯は本来硬いエナメル質で覆われていますが、歯ぐきの位置が下がって露出する部分はエナメル質よりも軟らかい象牙質やセメント質でできています。そのためむし歯になりやすいのです。

　また、歯の食いしばり癖や歯ぎしりをする人は、その圧力で歯と歯ぐきの境目が壊れてしまい、歯ぐきの根元（象牙質やセメント質）が露出し、むし歯になりやすいので要注意です。

　さらに、銀歯などの詰め物が脱離状態のままの歯も象牙質が露出していてむし歯が進行しやすいので、痛みがなくてもすぐに歯科医院で診てもらいましょう。（県歯科医師会）