【参院選・激戦の余波(中)】ガラス細工の野党共闘 民進、慎重派を説得

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野党統一候補として立候補した民進党の増子氏の第一声には、共産、社民の支持者も詰め掛けた=福島市

 「『平和を守る』という一点で、共闘の形ができた」。福島市の民進党県連事務所で12日に開かれた増子輝彦の総合選対本部会議。接戦を制した増子は、勝利の要因に県内初の野党共闘の成果を挙げた。

 安全保障関連法の廃止を求める市民団体の呼び掛けで共闘が実現した。しかし党内の一部から「『何でも反対』の共産党と組むのか」との声が上がり、最大の支援組織として「反自民、非共産」を掲げる連合福島にも反対意見は根強かった。

 公示後、野党共闘を「ガラス細工のようだ」と揶揄(やゆ)する関係者もいた。こうした共闘に対して慎重な態度を示す層への配慮もあり、選挙戦序盤の個人演説会に共産党関係者の姿はほとんど見られなかった。

 しかし、首相官邸も巻き込んだ組織戦でなりふり構わず猛追する自民党に危機感を強めた増子陣営は「自公の組織戦を、野党共闘で押し切る」と中盤に戦術を変更。「慎重派」の合意を取り付け、個人演説会に3党の議員らを徹底して参加させ、各党の支持層を確実に固める方針に転換した。

 野党共闘で民進は当初から、党の独自性を保つため共産の推薦は受けず、選対組織に共産、社民を加えることもなかった。県連政調会長の高橋秀樹は「いい距離感で戦えた。われわれの要望に応え、他党の候補を本気で支えてくれた共産、社民両党、市民団体に感謝したい」と笑顔を見せた。選挙後、野党共闘を批判する声は消えていた。

 衆院選は「全くの白紙」

 「この勝利を、来るべき衆院選の糧にしたい」。福島市で12日に開かれた増子輝彦の総合選対本部会議。集まった幹部は、早くも次期衆院選の話題を口にした。

 しかし、会議の中で「野党共闘」に関する話題はほとんど出なかった。衆院選での野党共闘について民進党県連幹事長の亀岡義尚は、報道陣に対し「全くの白紙」と語った。

 全国32の1人区で、野党は統一候補を擁立。このうち勝利につなげたのは本県を含む11選挙区。東北では5県で野党統一候補が勝ち、一定の効果を見せた。

 県連幹部からは「野党共闘でできたこの関係は大事。さまざまな角度からの話し合いが必要」との声も聞こえてくる。県連は近く、3党と市民団体との会合で野党共闘を総括する。

 一方、今回の選挙戦では数々の友好・支援団体などの組織力を駆使した与党・自民党に猛追を許した。民進党は旧民主、旧維新両党の合流で3月に誕生したばかり。「民進党」の党名とともに、県連組織が各地に浸透していない党基盤の弱さも露呈した。

 増子はこの日の選対本部会議で各種団体の意見を聞いて「政策を立案、実現する組織」に生まれ変わる必要性を指摘した。「業界団体の懐に飛び込むチャンスができた。後はわれわれが飛び込んいけるかどうかだ」。「安倍政権との戦い」を制した今こそ、自民がつかんで離さない団体との距離を縮める機会と考える幹部は多い。次期衆院選に向けた体制づくりはこれからだ。(文中敬称略)