「生まれ故郷に帰りたい」 天野さん、帰還信じキクを栽培

 
「生まれ故郷に帰りたい」 天野さん、帰還信じキクを栽培

「早く自宅に帰ってキクを育てたい」と帰還を待ち望む天野さん

 「賠償の問題ではない。この年になれば、純粋に生まれ故郷に帰りたいだけ」。浪江町から家族と二本松市の仮設住宅に避難する天野茂さん(80)は帰町への思いを率直に語る。

 浪江町菊の会副会長を務める天野さんは趣味で25年前からキクを栽培してきたが、先が見えない不安で、しばらくキクを育てる気になれなかった。しかし「長引く避難生活の少しでも潤いになれば」と昨春からキク栽培を再開。キクの世話をする時が避難生活の苦労を忘れる癒やしの時間だ。

 「いつになるか分からないが、早く自宅に帰って震災前のようにキクを育てたい」。天野さんは古里への帰還を願う。