【孤独死】完全防止、対応に苦慮 「早期避難指示解除を」

 
浪江町、相談員が仮設訪ね

仮設住宅の高齢者世帯を回り、声を掛ける浪江町社会福祉協議会の生活支援相談員。孤独死をなくそうと活動を強化する=二本松市

 南相馬市の仮設住宅で今年3月から3カ月続けて1人暮らしの高齢者が孤独死しているのが見つかった。これを受け、市は仮設住宅の独居高齢者と3日間連絡が取れない場合、警察などと協力して自宅に立ち入ることを決定。だが、3件はいずれも心筋梗塞などの突然死であり、「(突然死を含む)孤独死を完全に防ぐのは難しい」(市健康福祉部)のが現状だ。

 市は今夏、最長1カ月認められた避難区域の特例宿泊に伴い帰宅した住民の安否を確認するため、避難区域を巡回する「見守りパトロール隊」を新設した。今後の特例宿泊でもパトロールを続ける方針だ。

 孤独死の防止に万全を尽くすが、見回り強化が突然死の防止と結び付かず、市は対応に苦慮する。「早期の避難指示解除や昔ながらのコミュニティーの回復が一番の対策になる」と担当者は説明する。

 浪江町、相談員が仮設訪ね"声掛け"

 浪江町は、孤独死を防ごうと仮設住宅や借り上げ住宅で暮らす1人暮らしと65歳以上の高齢者世帯約2000人を対象に、町社会福祉協議会の生活支援相談員が巡回、住民に声を掛け、安否を確認している。

 町民が生活する本宮市と二本松市の仮設住宅で今年6月、1人暮らしの男性が死亡しているのが相次いで見つかった。このうち二本松市の男性は原発事故に伴った避難で家族と別々に暮らしていたが、仮設住宅の周辺を散歩するなど体は丈夫だったという。

 町社協は、長引く避難生活で住民の心身が衰え、孤独死につながっている実態がないかと懸念する。相談員は2人一組となって、二本松市11カ所、福島市8カ所、本宮市7カ所、桑折町1カ所の計27カ所の仮設住宅と福島市などの借り上げ住宅を訪問、最低でも週1回、住民と顔を合わせるようにしている。

 町社協の担当者は、限られた相談員の人数などから「孤独死をゼロにするのは難しいかもしれない」としながらも、「地域社会で孤立して不幸にも死亡後、数日たってから発見されるような孤立死をゼロにできるよう活動を強化していきたい」と話す。