長谷川有史福島医大医学部教授に聞く 現実に近い推計を

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長谷川有史福島医大医学部教授に聞く 現実に近い推計を

「初期被ばく線量の推計の曖昧な部分を小さくしたい」と話す長谷川教授

 ヨウ素131(半減期8日間)による原発事故直後の甲状腺被ばくはどの程度だったのか--。国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)が「今後がんの発生率に変化があるとは予測していない」とするなど、当時大きな被ばくがあったとの推計結果は報告されていない。一方で、より詳しい推計を目指す研究も進行している。事故直後の実測値を基にした研究を行う福島医大医学部放射線災害医療学講座の長谷川有史教授(46)に聞いた。

 --研究では何を目指しているのか。

 「原発事故後の甲状腺被ばく線量をめぐっては、世界保健機関(WHO)やUNSCEARが推計値を公表しているが、国際機関の推計は保守的な評価(安全側に立った評価)であり、不確かさも残る。外部汚染スクリーニングの実測値を使うことで、より現実に近い推計が実現できればと考えている」

 --研究で使用する実測値とはどのようなものか。

 「福島医大は事故直後、衣服や体表面を調べるスクリーニングを実施しており、避難者や消防隊員、自衛隊員475人分の実測値がある。全てが同じ精度のデータではなく、条件の整ったものを使用して推計を目指すことになる」

 --ヨウ素131は、放射能が半分になる期間「半減期」が8日間と短く、現在は測定できない。被ばくの実測値も、国がいわき市などで実施した1080人分のデータなどに限られている。

 「研究を進めても、判明するのは『推計』結果でしかないが、曖昧な部分を小さくすることはできる。推計がより現実に近いものになれば、県民の不安解消にもつながると思う。大学が持つ事故当時のデータを生かし、県民の思いに応えていきたい」

 はせがわ・ありふみ 新潟市出身。福島医大医学部卒。同大医学部救急医療学講座助教・放射線災害医療センター副部長などを歴任、昨年10月から現職。