【 仁井田本家 】 ありのままの豊かさ<郡山市>

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多くの見学者が訪れる酒蔵で真っ先に目に入る「自然酒」と一文字ずつ書かれた三つの大きな酒樽=郡山市・仁井田本家

 雪化粧した田園地帯を通り、森林に囲まれた酒蔵を訪ねると、真っ先に目に入るのは「自然酒」と一文字ずつ書かれた三つの大きな酒樽(さかだる)。300年以上の歴史を刻んだ仁井田本家(郡山市)は今、農薬も化学肥料も一切使わない自然米と自然派酒母100%で仕込む「金寳(きんぽう)純米酒」一筋になった。

 酒蔵を案内してくれた社長で杜氏(とうじ)の仁井田穏彦(やすひこ)さん(50)=写真・下=は「代々、受け継いできた『酒は健康にいい飲み物でなければならない』との信条を貫き、全ての酒を自然酒にした」と十八代目としての決意を語る。

 ありのままの豊かな風味、甘みとうまみを醸し出す自然酒は、自然米と手つかずの広大な山林から湧き出る天然仕込み水から生み出される。全国初の糀糖(こうじとう)など自然米を生かした多彩な商品も開発。全社員が酒造りと発酵のプロになるべく、研さんに余念がない。

 自然米栽培は手間が掛かる上、収量は多くない。「収量は通常のコメの約3分の1。でも、みんなの情熱が『気』となって加わり、ふくよかな酒ができる」と胸を張る。世界最大級のワインコンテスト「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」で昨年、「自然酒 純米吟醸」「自然酒 燗誂(かんあつらえ)」が金賞をダブル受賞、世界的な評価を受けた。

 目指すのは「日本の田んぼを守る酒蔵」。仁井田さんは「自然米の元気な田んぼを増やし、山も川もきれいな里山づくりで、酒造りとともに『真に豊かな田舎』につなげたい」と地元への熱い思いを語る。


仁井田本家

 自然米で全国に先駆け
 江戸中期の1711(正徳元)年に現在の酒蔵のある郡山市田村町金沢で創業した。旧金沢村と屋号の「寳来屋(ほうらいや)」から、「金寳」と命名する由来となった。1967(昭和42)年、全国に先駆けて自然米だけを使った「金寳自然酒」の醸造、販売を始めた。創業300年を迎えた2011年、自然米と自然派酒母100%の酒造りに徹し、13年に「生酛(きもと)仕込み」を開始した。仁井田本家(電話)024・955・2222

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