有賀、千駒、開当男山...海外へ販路、シンガポールに日本酒輸出

 

 福島県白河市の有賀醸造と千駒酒造、南会津町の開当男山酒造の3社は14日、シンガポールに日本酒の輸出を始める。3社にとって海外への輸出は初めて。規模の比較的小さい酒造3社の高い品質が海外に認められた形で、県産日本酒の一層の販売拡大が期待される。

 初回は720ミリリットル入り瓶を計約170本出荷する見通し。3社は2回目以降も定期的な輸出を計画している。品目には宇宙から帰還した県オリジナル酵母「うつくしま夢酵母」を使った日本酒も含まれ、宇宙酒としても初の輸出になる。

 3社は県酒造組合と連携し、県内企業の海外販路拡大を支援する「福島あぷらす」が3月にシンガポールで開いた商談会に日本酒を出品。現地の飲食店経営者やバイヤーら約50人が試飲した。6月には同国最大規模の日本酒イベント「サケフェスティバル」に日本酒を出し、関心を寄せた酒販店から引き合いがあった。

 宇宙酒は千駒、開当男山の2社が輸出する。夢酵母は2021年6月に国際宇宙ステーションに打ち上げられ、同7月に帰還した。シンガポールでは珍しい酒が好まれる傾向があり、イベントでも「スペースサケ」と好評を博したという。

 開当男山酒造の渡部謙一代表は「海外で本県の日本酒が評価され、注文いただいてありがたい。日本酒の良さを世界に発信できるよう努めたい」と話した。