がん治療と口腔ケア

 

 口の中を良い状態に保つ

 がん治療に付随して口の中に起こるトラブルがあります。口内炎、疼痛(とうつう)各種感染症、口腔(こうくう)乾燥、味覚障害、口腔粘膜の剥離や浮腫などです。それらがどのくらいの割合で起こるかというと、頭頸部(とうけいぶ)領域の治療ではほぼ10割近く、造血幹細胞移植の治療では約8割、他部位の化学療法や放射線治療全般でみても約4割の患者さんに見られるそうです。

 予防や軽減はできるのでしょうか。幾つかのポイントを挙げてみたいと思います。まずは、がん治療に先立って、むし歯や歯周病があれば治療し、口の中を良い状態にしておくことです。その上でプラークコントロールの習慣を身に付けてください。

 また、入院や治療の間、自分で口の中の手入れができないような場合には、周りの誰かが口腔ケアのフォローをする必要があります。具体的な口腔ケアの内容と方法ですが、まず、歯があれば歯みがき。歯ブラシの毛先が汚れの付いているところ(歯と歯肉の境目や歯と歯の間は要注意)に届くことが大切です。こすらずに歯ブラシを揺するようにしてプラークを取り除きます。ブラッシングの後には、きれいに洗い流してください。洗口剤などの使用も効果があります。

 また、粘膜などに炎症や痛みなどがある場合は、その手当ても必要です。そして、口の中の潤いを保つこと(保湿)が大切です。

 分からないことや不快症状があるときには、まず主治医にご相談を。

(県歯科医師会)