口腔がん

 

 注意すれば早期発見可能

 歯ぐきの「できもの」が治らないと受診する方がいます。下の歯ぐきに1センチ四方くらいのしこりがあり、患者さんは悪いものではないかと心配していました。しこりの一部を切り取って顕微鏡を使って検査(病理組織検査)をしましたが、結果は良性のものでがんではありませんでした。

 口の中にできる悪性腫瘍のことを口腔(こうくう)がんといいます。口腔がんの発生率は体にできるがんの1〜3%といわれ、以前に比べると男女ともに増えてきています。また年齢的には50歳以上が全体の約80%を占めており、高齢者が多いというのはほかのがんと同じです。

 口腔がんの初期の段階では、自覚症状は少なく痛みもほとんどありません。進行すると、口内炎が治らずしみるようになったり、しこりができ、容易に出血するようになります。触って硬い感じのするものや、白い板状のものは要注意です。

 発生原因の一つにたばこがありますので、予防には禁煙が大切です。

 口腔がんは口の中にできるので、ほかの臓器がんと違い直接見たり触ったりすることができ、注意さえしていれば早期発見、早期治療が可能です。周囲の組織への広がりがなく、大きさが2センチ以内で、リンパ節に転移のないものは、予後は良好な場合が多いです。

 口の中に気になる症状を見つけたら、かかりつけの歯科医院や口腔外科を受診してください。

(県歯科医師会)