性感染症、福島県で急増中!特に梅毒が

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。大森中央泌尿器科・内科・外科クリニック(福島市)の横田崇先生の泌尿器科に関するお話です。
性感染症、福島県で急増中!特に梅毒が
医療法人
大森中央泌尿器科・内科・
外科クリニック
横田崇先生
福島医科大学医学部卒、米国スタンフォード大留学、福島医大泌尿器科講座助教授などを経て2005年、福島市に医療法人大森中央泌尿器科・内科・外科クリニックを開院、福島市医師会理事。
 
 

    

 3月は学生なら卒業、働いている人なら異動の時期です。何かと不安や寂しい思いをする人がいるかもしれません。しかし新しい門出、あるいは新しい出会いがあると思えば楽しいことが待っているかもしれませんよ。人生、良いこともあれば悪いこともあります。ポジティブに考えたほうが人生楽しいに決まっています。雪解けが進み吾妻山に「雪うさぎ」が出てくる3月は、私にとって心も浮き浮きして大好きな月のひとつです。

 今、われわれ福島県民が直面している由々しき医療健康問題が二つあります。一つは東京電力福島第一原子力発電所事故による放射線障害、特に若年者の甲状腺に対する影響です。現在見つかっている甲状腺がんと事故との関連性については、現時点では不明とのことですが、検査対象者は甲状腺エコー検査を積極的に受けて、早期発見に努めるべきでしょう。もう一つの問題は性感染症の増加です。性感染症とは読んで字のごとくセックスによってうつる感染症で、性器の接触ばかりでなく口腔セックスでもうつります。反対にセックスをしなければうつりませんし、温泉やお風呂でもうつりません。クラミジア、淋菌、HIV(エイズ)、梅毒、尖圭コンジローマが主なものですが、そのほかにもB型肝炎、C型肝炎、ヘルペスなどがあります(図1)。

 近年、多々ある性感染症の中でも梅毒にかかる人が全国的に増えています。特に福島県での梅毒患者数が他県に比べて増えていて、2016年、人口10万人当たりの梅毒患者は福島県では3.63人で、東京都、大阪府に次いで第3位でした(図2)。14年までは全国で40位以下の患者数だったにもかかわらず15、16年と急激に増加しています。特に10代後半から20代の女性の感染が増加しているのが特徴で、今後母体内での胎児梅毒感染が増えることが危惧されます。私の診療所でも梅毒やそのほかの性病を心配して受診する方が最近増えています。過度に不安となり受診する方も多い半面、何度も感染して受診する患者さんが多いことも事実です。セックスは本能であり、1度経験すると快感を伴うためやめられないことから、感染を予防するには慎重な性行動が大切です。感染のリスクを回避するためにどうすれば良いのか、性感染症を疑って当院を受診した患者さんから探ってみました。

 15年10月から16年9月までの1年間に、性感染症を心配して当院を受診した患者さんは220名で全員が男性です。その中で64名の方は幸いにも性病ではありませんでした。残りの156名の方が性病と診断され、そのうち梅毒に感染していた人は9名で、性感染症の5.8%を占めています。そのほかクラミジア42名、淋菌40名、クラミジア淋菌同時感染が8名、性器ヘルペス33名、尖圭コンジローマ24名という結果でした。どこで誰から感染したと思うかを尋ねてみますと図3のような答えでした。性病に感染していた割合は、性風俗店を利用した人の99名中63名63.6%、パートナーなど一般の方とのセックスと答えた人は104名中77名74.0%で、その感染率はほとんど変わりませんでした。それぐらい性感染症は身近なものであり、誰でもかかりうる病気であると理解できるのではないでしょうか。特に知人やセックスパートナーなどアマチュアと思われる人からの感染が若干高いことから、今後性感染症が拡大するのではないかと心配になります。

 かかったかなと思ったら検査を受けてください。クラミジアや淋菌は感染から3日もすれば尿検査で診断可能ですが、梅毒やエイズは血液の抗体を調べる検査ですので、感染してから約2か月以上経過しないと抗体ができないため診断がつきません。感染した人はその間は潜伏期間といって症状が無いにもかかわらず、ほかの人にうつしてしまう期間ですので誰ともセックスは禁止です。梅毒検査とエイズ検査は福島県内のどの保健所でも無料で受けられます。受付時間を確認して受診してください。また性感染症は性活動が活発な若い人に多い病気ですので、交際を始める前に性病検査を受け、お互いが健康であることを確認する思いやりも必要です。最近はブライダルチェックという性病検査を結婚前に交換し合うことも行われています(全額自費)。

 性感染症の予防はやはり若い年代からの性教育が大切であると私は思っています。しかし中学生や高校生に対する性教育を提案すると反対意見が出ることがあります。感染すると子供ができにくくなったり、神経や血管に重い病気を患ったりすることがあることを考えますと、ただ単に「性教育が寝た子を起こすからしないほうが良い」という理由はもう通用しない時代に来ていることも確かでしょう。最近話題になった死亡率が高いエボラ出血熱や胎児水頭症の発症率が高いジカ熱もセックスで感染することが判明し、従来考えられていた性感染症以外にも性行為でうつる病気がまだまだあることもわかってきました。性に関して無防備な子供たちを守るために、開放的になる春休みや夏休みの前に性教育の機会があればいいなと考えます。

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 次回は血尿についてです。

月号より