泌尿器科の病気「ゆりかごから介護まで」

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。大森中央泌尿器科・内科・外科クリニック(福島市)の横田崇先生の泌尿器科に関するお話です。
泌尿器科の病気「ゆりかごから介護まで」
医療法人
大森中央泌尿器科・内科・
外科クリニック
横田崇先生
福島医科大学医学部卒、米国スタンフォード大留学、福島医大泌尿器科講座助教授などを経て2005年、福島市に医療法人大森中央泌尿器科・内科・外科クリニックを開院、福島市医師会理事。
 
 

     

 もうじき福島でも冷たい梅雨がやってきます。私の出身は海に面した広野町なので、この時期1m先も見えない位の深い霧が時々発生します。今年も出ているかな?懐かしい。

 皆さんは泌尿器科といったらどんなイメージを持ちますか?おじいちゃんやおばあさんが多く通う科だと思っていませんか?でも泌尿器科の病気は赤ちゃんからお年寄りまで年齢の範囲が広いのが特徴です。最終回となる今回は、年齢による泌尿器科の病気を簡単に紹介したいと思います。

(1)小児泌尿器科 (先天異常を治す)  

 生まれてくる子供の約100人に1人は何らかの奇形を持って生まれてきます。奇形は目に見えるものから見えないものまでありますが、その半分は泌尿器臓器に関連があります。奇形は将来にわたってその子の健康を損ねる原因になりかねず、発見したら早期に手術をして治す必要があります。子供が生まれた時に真っ先に目がいくのは股間です。男児なのか女児なのかは、おちんちんや睾丸があればわかります。しかし、男児であっても尿道がおちんちんの先端までできていない場合や睾丸が陰嚢に入っていなければ女児と間違って育てられてしまうこともあります。手術によっておちんちんの先端まで尿道を作らないと立ってオシッコができませんし、セックスもできない状況になってしまいます。また睾丸を陰嚢内に納めておかないと、将来精子が作れないため不妊症になったり、睾丸に癌ができたりすることもあります。さらに原因不明の発熱を繰り返すお子さんは、腎臓や尿管に奇形があることもあります。腎臓の働きを悪くすることがあるため早期発見治療が大切です。

 他にもお母さんが心配して受診することが多いのが包茎です。包茎は奇形ではありません。年齢を重ねると徐々に亀頭部は露出しますので、繰り返す尿道炎や亀頭炎を起こさなければ心配いりません。無理に露出させると包皮から出血する危険があります。

(2)夜尿症

 オネショは尿道や腎臓に奇形がなければ必ず治ります。ただ治療に時間がかかるお子さんもいるので、余裕を持って治療を開始すべきです。修学旅行や宿泊訓練が始まる小学校高学年になる前、特に女児では生理が始まる前には治しておきたいものです。小学3年生になっても毎晩オネショをする時には治療を始めましょう。また便秘とオネショは関連がありますので、便秘も治しておきましょう。

(3)男性不妊症  

 子供を望む夫婦が1年経っても妊娠しない場合は不妊症です。  結婚すれば子供ができるものと考えますが、お互いの生殖機能に問題がなくても20組に1組は子供ができません。原因の半分は男性にあり、女性にばかり問題があるわけではありません。精子が作れない、作れても精子が出てこない、精子の発育が悪い等が主な原因ですが、その方たちのために生殖医療が発展してきました。諦めずに治療を受けましょう。遺伝子異常によって精子が作られないこともあるため、患者さんによっては染色体検査が必要です。

(4)男性更年期・ 男性機能障害(ED)  

 30歳から50歳頃に悩まされる問題で、約70%は疲れや緊張などで起こります。最近では薬によって改善される方も多くなりました。同様の症状はうつ病などの精神科的病気でもなりますが、血液中の男性ホルモンを測定することで見分けることが可能です。

(5)尿路結石

 尿路結石は激痛を伴う、再発性が高い病気です。男性の方が女性より発生しやすい傾向があります。結石の多くはシュウ酸カルシウム結石ですが、できる原因はわかっていません。治療は体外衝撃波という体にダメージが少ない装置で行うことが多く、昔のように体にメスを入れることは少なくなりました。

(6)婦人泌尿器科(尿失禁)

 女性は年齢が高くなるにつれてオシッコの漏れが多くなります。原因は尿道が短いという体の構造上のことや出産との関連があります。20歳代でも約10%の方は尿漏れを経験しています。「年だから仕方がない」と諦めないでください。最期は誰でもきれいに逝きたいと考えるものです。最近は良い薬もできましたし、体に優しい手術もできるようになりました。

(7)前立腺疾患

 前立腺は男性特有の臓器で、年齢に伴って約80%の方が前立腺肥大症に罹ります。同時に前立腺癌は高齢者男性に発生する癌では一番多い癌ですので、その見極めのためPSA検査は必須です。出血を伴う場合は他の泌尿器癌、特に膀胱癌を見逃してはなりません。

(8)神経因性膀胱

 生まれつき神経に問題がある二分脊椎症、自動車事故などで受傷して起こる脊髄損傷、高齢者に多いパーキンソン病や脳梗塞、糖尿病などの病気は神経にダメージが起こることで排尿障害が起きます。障害の場所によって訴える排尿症状が異なるので、きめ細かい排尿管理をして腎機能を悪くさせないように診療しています。

(9)泌尿器科介護医療

 終活時には何らかの病気を持っていたり足腰が思うように動かなかったりなど、寝たきりになってベッド上で過ごすことが多くなります。寝たきりとなった方にとっては1日に6~7回やらなければならない排尿は厄介なものです。オシッコを出す管を膀胱に入れる処置も含め在宅医療の排尿管理には泌尿器科医は欠かせません。

 このようにいろいろな場面で泌尿器疾患に遭遇しますが、いずれにしても早期発見・早期治療が大切です。どうです?まさに泌尿器科は「ゆりかごから介護まで」のお付き合いになることを理解していただけましたか?  短い間でしたが読んでいただいてありがとうございました。皆様が健康に過ごせることを望んでおります。

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 次回からは公立藤田総合病院(国見町)の副院長で脳神経外科医の佐藤昌宏先生が担当します。

月号より