脳卒中について。その3

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。今回から公立藤田総合病院(国見町)副院長の佐藤昌宏先生が担当します。
脳卒中について。その3
公立藤田総合病院
佐藤昌宏先生
福島県立医科大学医学部大学院卒、医学博士号を取得。同大学附属病院から総合南東北病院、福島赤十字病院、原町市立病院等にて勤務し1996(平成8)年4月から公立藤田総合病院脳神経外科、2008年4月より同病院副院長。専門は脳血管障害の診断と外科治療。日本脳神経外科学会専門医・指導医、福島県立医科大学医学部臨床教授。
 
 

     

 脳卒中の患者さんは現在118万人いるといわれており、毎年25万人が発症していると考えられております。今回は、その中で脳卒中の約24%を占める出血性脳卒中についてお話します。出血性脳卒中とは、脳の血管が破れて頭蓋内に出血し、脳の機能障害を引き起こすものです。代表的疾患として「脳出血」と「くも膜下出血」に分類されます。ちなみに前回までお話したのが、閉塞性脳卒中(脳梗塞)です(図1)。

1 脳出血
 高血圧が続くと、脳内の細い動脈に絶えず高い圧力がかかるため、だんだんもろくなり(血管壊死)、ついには破れて脳出血を起こします。脳出血は発症した時に多くは頭痛や嘔吐を伴います。その他の症状は出血の部位によって異なりますが、片麻痺、感覚障害を伴い、重症例では意識障害をきたします。意識障害を伴う脳出血の予後は、あまりよくありません。

2 くも膜下出血
 脳動脈にできた瘤(動脈瘤)が破れて、脳の表面(くも膜下腔)に出血するものです。原因としては脳動脈の一部が膨らんでできた動脈瘤の破裂によるものが大部分です。男性より女性に多く、40歳以降に多くみられ、年齢とともに増加します。家系内に動脈瘤やくも膜下出血の方がいる場合は発生頻度が高く、また高血圧、喫煙、過度の飲酒は動脈瘤破裂の可能性を数倍高くするという報告もあります。その他、血管奇形や外傷などもくも膜下出血の原因となりえます。脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は死亡率が高く、手術により救命できても後遺症を残す場合もあり、大変恐ろしい病気といえます。


 【くも膜下出血の症状】

●「頭を殴られたような」突然の激しい頭痛
●意識が朦朧とする、意識を失う
●嘔吐、血圧上昇
●麻痺はないことが多いが、手足が麻痺したり、物が二重に見えることもある

 発症前に、突然の頭痛を何回か経験する方もいらっしゃいます。これは動脈瘤からの微小出血によるといわれており、前ぶれ頭痛とも呼ばれます。出血量が少ないと軽い頭痛のみで前記のような典型的な症状がなく、〝風邪〟と思い込んで様子を見てしまう方も中にはいらっしゃいます。  くも膜下出血が起こると、猛烈な頭痛と吐き気、嘔吐を伴い、多くはそのまま意識を失ってしまいます。出血が軽い場合、意識は回復しますが、出血量が多い時や脳内に破れ込んだ場合は、生命の危険があります。1回目の発作は軽くても、その日のうちに再び破れること(再破裂)が多いので、入院して絶対安静、血圧を下降させ、早期に治療が必要です。  診断は意識や症状のほか、最も診断に役立つのは断層写真(CT、MRI)です。断層写真でくも膜下出血を認めた場合、引き続き出血源の確認のために脳血管撮影やMRA、3D-CTAなどが行われます。


脳動脈瘤治療

 根本的な治療は、動脈瘤にクリップをかけるクリッピング術や動脈瘤内に特殊なコイルを挿入して動脈瘤を血栓化させて、再破裂しないようにすることです。そのため、くも膜下出血では入院後、必ず3D-CTや脳血管撮影を行い、動脈瘤などの出血源の有無、場所を確かめる必要があります。

 ここで、クリッピング術とコイル塞栓術についてお話します。


脳動脈瘤クリッピング術
1.まず全身麻酔をかけたあと、外科的に開頭を行い、手術用の顕微鏡を用いて脳と脳の間を分け、剥離を行い動脈瘤まで到達します
2.続いて破裂した動脈瘤の根元を専用のクリップではさみ、血液が動脈瘤に流入しないようにする手術です(図2)
3.動脈瘤に対する最も広く普及している治療法です
4.動脈瘤が脳表に近いあるいは小さい場合は手術しやすいのですが,奥深い場合や大きい場合には手術が困難となります

脳動脈瘤コイル塞栓術

 太ももの付け根の血管から治療用の細い管(カテーテル)を動脈瘤の中まで誘導し、その中を細くやわらかいプラチナ製のコイルを通して動脈瘤を内側から詰めてしまう治療です(図3)。

 血管内手術と呼ばれる新しい治療法ですが、まだ治療できる施設が少ないのが現状です。

 クリッピングの困難な奥深い場所の動脈瘤でも治療可能ですが、動脈瘤の形がくびれていないとうまくコイルを詰めることができないので、すべての動脈瘤に行えるわけではありません。全身麻酔が望ましいのですが、局所麻酔でも行うことが可能です。最近、クリッピングに比べて成績が良いという報告がなされ、治療例が増えてきています。

 詳細については脳神経外科医にお尋ねください。

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 脳卒中の症状や検査についてです。

月号より