脳卒中について。その4

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。今回から公立藤田総合病院(国見町)副院長の佐藤昌宏先生が担当します。
脳卒中について。その4
公立藤田総合病院
佐藤昌宏先生
福島県立医科大学医学部大学院卒、医学博士号を取得。同大学附属病院から総合南東北病院、福島赤十字病院、原町市立病院等にて勤務し1996(平成8)年4月から公立藤田総合病院脳神経外科、2008年4月より同病院副院長。専門は脳血管障害の診断と外科治療。日本脳神経外科学会専門医・指導医、福島県立医科大学医学部臨床教授。
 
 

     

 今回は脳卒中の症状についてお話します。  脳卒中は、脳のどの場所に起こり、どの部位が障害されたかにより、症状には大きな違いが出ます。

Ⅰくも膜下出血
 激しい頭痛が特徴的です。
(1)突然の頭痛
(2)瞬間的に痛む頭痛
(3)今までに経験したことのないような激しい頭痛
(4)バットで後頭部を殴られたような頭痛
(5)とても激しい頭痛
(6)意識が朦朧とする、意識を失う
(7)吐き気、嘔吐、血圧が上昇
(8)手足の麻痺はないことが多いが、手足が麻痺したり、物が二重に見えたりすることもあります

Ⅱ脳梗塞、脳出血

 (1)片側の顔、手、足の運動麻痺(片麻痺)

 ・口の片側から食べたものや水がこぼれる
 ・片側の手足に力が入りにくい
 ・箸、茶わん、コップなどが持ちにくい
 ・片側の足に力が入りにくく、歩行時に足を引きずったり、伝い歩きになったりとうまく歩行ができない
 ・片側の足がよくつまずく
 【見分け方】
 ・笑ってもらい(イーとしてもらい)、顔に左右差があるか
 ・目を閉じて両手を挙げてもらい、片方だけが落ちる
 ・横になった状態で、目を閉じて両足を挙げてもらい、片方だけが落ちる


 (2)言葉の障害(構音障害、失語症)

 ・呂律が回らない
 ・言いたいことが出てこない
 ・文字が書けない
 ・聞いた言葉、読んだ言葉が理解できない
 【見分け方】
 ・何か文章を繰り返して言ってもらい、呂律が回らない、話せない
 ・話をしてもらい、言葉が出てこない、間違った言葉が出る
 ・話しかけても言葉が理解できない。


 (3)意識の障害

 ・ボーッとしている
 ・受け答えがおかしい
 ・名前や場所、時間、生年月日が言えない
 ・呼びかけてもすぐに寝てしまう
 ・高いいびきをかいて寝ている

 (4)同じ側の顔、手、体、足の感覚が鈍い(半身の感覚障害)

 ・片側で紙の上から触られている感じがする
 ・片側は冷たさ、熱さ、痛みを感じるのに対側は感じない


 (5)視野の半分が見えない(半盲)

 ・視野の半分が欠けている症状を半盲と言う。半盲の場合には、右眼で見ても左眼で見ても、視野の片側、一部が欠けていて見えなくなる

 (6)ふらついてうまく歩けない(失調)

 ・手の力はあるのに、手をうまく使えない
 ・コップまでうまく手が運べない
 ・足の力はあるのに、歩く時にふらついて歩けない

 (7)ものがだぶって見える(複視)


 (8)片方の眼が見えない


 (9)物を覚えられない(記銘力障害)

 これらの症状は脳梗塞でも脳出血でも起こりえますので、頭部CTや頭部MRIの検査が必要になります。

Ⅲ一過性脳虚血発作(TIA)

 前記の症状が24時間以内に良くなることがあります。脳梗塞の前兆として重要です。すぐに病院を受診しましょう。

ACTFAST
 米国脳卒中協会では、脳卒中を疑う人を見たら、3つのテストをするように勧めています。そのうち1つでもあれば脳卒中を疑います。脳卒中の前ぶれ(図1)に早めに気付いてもらおうと実施しているキャンペーン、それがACT FASTです。大切な兆候ですので、是非、覚えておいてください。

Face:笑ってください。片方の顔が下がっていませんか?
Arms:両手を挙げてください。片方の手が下がってきませんか?
Speech:簡単な文章を言ってください。呂律が回っていますか? 文章を正しく繰り返せますか?
Time:これらの症状がどれか1つでもあれば、時間が勝負です。発症してから限られた時間内でしかできない治療があります。

 これらの症状があれば119番に電話(図2)するか、一刻も早く病院に行ってください。脳細胞は死にかけています。

 脳も心臓も病気の早期発見、早期治療が最も大切です。発症してから治療までの時間が短ければ短いほど、後遺症が軽く済む場合があります。「しばらく様子を見よう」というのは禁物です。一刻も早く専門医療機関を受診するようにしてください。

救急車が来るまでに

 では、救急車を要請したら、どのようにして、到着を待てば良いのでしょうか。  まず、救急隊が処置をしやすく、運びやすい場所に横に寝かせます。
 横になった本人は自分では動かずに、マットや毛布などの上で周りの人が動かします。
 脳の血流量が減少しないように、頭の下に枕はひかないようにします。
 いびきが高く、呼吸が苦しそうであれば、バスタオルなどを巻いて肩の下に敷きます。
 吐き気や嘔吐がある時には体ごと顔を横向きにします。この時に麻痺があれば、麻痺している側を上にしてください。吐いたもの(吐物)が喉に詰まらないようにします。喉の奥に吐物が詰まると窒息したり、誤嚥して後に誤嚥性肺炎を引き起こしてしまったりすることになります。もし、意識がなくて舌が喉の奥に下がって、大きないびきをかいて、呼吸状態が悪い場合には、下顎を少し持ち上げるようにして呼吸しやすいようにしてください。

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 次回は脳卒中の検査についてです。

10月号より