「町の発展この目で」 富岡の原田さん夫妻、情報発信望む

 
「町の発展この目で」 富岡の原田さん夫妻、情報発信望む

土地区画整理事業が進められている富岡町曲田地区

 富岡町のJR富岡駅北西部に位置する同町曲田・岡内地区。曲田地区から三春町の仮設住宅に避難する原田東光(とうこう)さん(73)、紀衣子さん(74)夫妻は「町が発展していく姿をこの目で確かめたい」と古里への思いを話した。

 町は両地区を第2次町災害復興計画で復興拠点に位置付ける方針で、曲田地区では町復興の中心地として土地区画整理事業を進めている。

 原田さん夫妻は、2011(平成23)年2月に長男が同地区に家を建てたのを機に町内のほかの地区から移住した。しかし、入居からわずか1カ月足らずで震災が発生。家は津波の被害を受けただけでなく、東京電力福島第1原発事故で原田さん一家は避難生活を余儀なくされ、手付かずの状態となった。

 「よりよい町になってほしい」。原田さん夫妻は同地区が復興拠点に位置付けられたことを歓迎する一方、「復興拠点として整備されても、住民がいなければ行政は成り立たない。定住する町民がどれだけいるのか分からず、(帰還に)踏み切れない部分もある」と不安ものぞかせる。それでも「根っこには帰りたいという思いが間違いなくある」と話す。町への帰属意識をつなぎ留めるため、町に積極的な情報発信を求める。一方で「町に頼ってばかりではいけない」と町民同士による議論の活発化も必要という。