福島大未来支援センター客員准教授・天野和彦氏に聞く 個人情報共有へルール

 

 ライフラインが寸断され、多くの県民が避難所生活を送った。次の災害への備えについて、福島大うつくしまふくしま未来支援センターの天野和彦客員准教授(56)に聞いた。

 ―震災、原発事故の教訓とは。
 「避難でコミュニティーが崩壊し、避難者はいつ帰れるか分からないという不安を抱えることになった。心が丈夫ではない状況に追い込まれ、震災関連死や孤独死、自殺が大きな問題となっている。平時から、いざというときに互いに見守りができる人と人との関係を、地域の中で構築しておくことが何より重要だ」

 ―今後に向けた課題は。
 「震災から5年となる今も、行政やボランティアなど支援側の間で、被災者の居場所や置かれている状況などの情報が共有できていないのは課題で、改善が望まれる。行政もボランティアも支援の得手不得手があり、連携することで効率的な支援が可能になる」

 ―どうして情報共有できないのか。
 「個人情報保護法が誤って理解されているケースがある。災害時に被災者の個人情報をどう取り扱うか、平時からルールをつくっておくべきだ」

 あまの・かずひこ 会津若松市出身。県職員として社会教育に従事。原発事故の避難所となった郡山市のビッグパレットふくしまで支援に当たった。56歳。