県除染アドバイザー・石田順一郎氏に聞く 森林汚染、効果的対策を
震災と原発事故から5年を迎える本県の放射線量の現状について、県除染アドバイザーを務める石田順一郎日本原子力研究開発機構福島環境安全センター特任参与(64)に聞いた。
―放射線量の現状は。
「県内の空間放射線量は自然減衰や除染で徐々に低減が進む。国は長期目標として年間追加被ばく線量1ミリシーベルトを掲げ、効果的な除染の知見も深まっているが、今すぐは目標を達成できない場所もある。ただ、世界を見渡せば、自然環境の中で1ミリシーベルトを超える地域は福島以外にもあり、1ミリシーベルトを超えても極端に不安視する必要はないのではないか」
―不安を持つ県民もいる。
「『安全』の捉え方が個人個人で違うのは当然だが、原発事故があり科学への信頼が揺らいだ側面もある。住民の帰還にも関わるため、適切に判断できるようなリスクコミュニケーションが重要だ」
―今後の課題は。
「森林と帰還困難区域の汚染が一番の問題だ。自然減衰も踏まえ、効果的な対策を検討する必要がある。併せて、居住制限区域に近い帰還困難区域は除染するなど、実情に応じて柔軟に対応していくべきだ」
いしだ・じゅんいちろう 茨城県出身。茨城大工学部卒。日本原子力研究開発機構福島環境安全センター長、同機構安全統括部長を歴任。64歳。