【工業】産業集積『新たな時代』 生産低下も誘致企業の今後期待

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で大きなダメージを受けた本県の商工業。しかし、約5年が経過し、徐々に回復の兆しを見せている。特に、震災後、県内各地で建設が相次ぐ大規模太陽光発電所(メガソーラー)を中心に、再生可能エネルギーへの取り組みは大きく加速している。また、最先端ロボットの研究開発などの取り組みも進んでおり、本県の商工業は新しい時代を迎えつつある。

 県内工業の多くは東日本大震災後、生産額などが落ち込み、大きな打撃を受けた。震災後も本県の工業製品の出荷額東北一は続いているが、鉱工業については、生産面で現在も震災前の状況まで回復していない。県によると、2015(平成27)年平均の本県の鉱工業指数(2010年=100、原指数)の生産が88.0と前年比4.7ポイント減少した。震災後の11年の88.9さえ下回る。

 県によると、国、県の企業立地補助金などの効果で県内への企業や工場の誘致が進んでいるものの、まだ生産が始まっていない企業が多い状況。また、避難指示が出た市町村で企業が生産停止を余儀なくされた影響もあるとみられる。

 業種別では、食料品・たばこ工業が前年比28.9%減、情報通信機械工業が同5.0%減など16業種が低下。一方、電気機械工業が同15.3%増、電子部品・デバイス工業が同7.6%増、パルプ・紙・紙加工品工業が同7.2%増と、上昇したのは3業種にとどまった。

 県は今後、誘致企業などの生産が徐々に始まっていくことを見通す。また、浜通りを廃炉や災害対応ロボットの研究開発拠点などとする「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」が順調に進んだ場合、「設備投資が増え、生産増加につながるのではないか」(統計課)と期待している。