依然として『人手不足』続く福島県 有効求人倍率はバブル期並み

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から6年11カ月、復旧工事や除染などに伴う復興需要のピークは過ぎたとの見方が強い。一方、少子高齢化に伴う人口減少や全国的な「売り手市場」などを背景に、県内では依然として人手不足の状態が続く。本県の復興、将来を担う人材をどう確保、育成していくかが大きな課題となっている。

 福島労働局が毎月発表している県内の有効求人倍率は、昨年12月に、1.47倍と66カ月連続で1倍以上となり、1963(昭和38)年の統計開始以降、バブル期と並ぶ高水準が続く。

 有効求人倍率は求職者1人当たりの求人数を示す値で、企業の募集人数が職探し中の人を上回ると1倍を超え、倍率が高くなるほど仕事を得やすくなる半面、企業にとっては人手不足感が強まる。

 同労働局によると、統計開始から震災発生までに本県の求人倍率が1倍以上だったのは69年7月~70年3月の9カ月と、73年1月~74年5月の17カ月、バブル期の87年12月~93年5月の66カ月のみ。震災から約1年後の2012年7月、復旧事業や除染などの復興需要が高まったことで約19年ぶりに1倍台となり、以降17年12月まで1倍以上を維持している。特に13~14年は全国トップクラスの高さで、都道府県別の求人倍率が全国1位となる月もあった。地域別では相双やいわきの求人倍率が高い傾向にある。

 正社員も高水準 40、50代の増加顕著

 福島労働局によると、県内では人手不足の影響で、正社員に限った有効求人倍率も高い傾向にある。昨年12月の求人倍率は1.11倍と3カ月連続で1倍を超え、2004年11月の統計開始以降で最高となった。

 04年以降で正社員の有効求人倍率が1倍以上だったのは14、15年の12月と、16年11月~17年1月、同10月~12月の計8カ月。年平均の推移をみると、09年(0.18倍)から毎年増加が続き、17年は0.97倍に上った。

 17年度(4~11月の平均値)は全ての年齢層で求人数が12年を上回っている。特に40代や50代の増加が顕著で、人手不足から募集年齢層の幅が拡大している状況もみられる。

 横ばいで推移の見通し 福島労働局

 県内の有効求人倍率が高水準で推移していることについて、福島労働局は復興需要に加え、少子高齢化に伴う人口減少など社会的要因も影響し、人手不足状態が続いているとみている。

 同局は、除染の終了などを受け「復興需要のピークは過ぎた」とみる一方、多くの業種で人手不足の状況が継続しているため、今後も求人数は高水準を維持しつつ横ばい傾向で推移するとみている。

 また、求人倍率の高さは人手不足感を強める一方、働き手としては職の選択肢が広がるほか、企業側も優秀な人材を採用するため「働き方改革」に積極的に取り組むなど、好循環も生まれているとみている。