肥満や体力...改善傾向 児童向けプログラム、運動不足解消に成果

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 震災後、原発事故の影響で外遊びを控えたり、仮設住宅での避難生活が続いて運動不足になったことで、顕著になっていた本県の子どもの肥満や体力・運動能力の低下傾向は、5年が経過して徐々に改善がみられている。また、昨年開校した広野町の県立中高一貫校「ふたば未来学園高」では第1期生が充実した学園生活を送っている。

 文部科学省が県内の幼稚園児から高校生(5~17歳)を対象に実施した本年度の学校保健統計調査(速報)によると、標準体重より20%以上重い肥満傾向児の割合は、各年代とも全国平均を上回っているものの、都道府県別では1位となった年代が、原発事故後初めてゼロになった。同調査の過去5年間の推移をみると、震災前の2010(平成22)年度は全国ワースト1の年代が15歳の一つだったが、原発事故の約1年後に行われた12年度は七つに急増。13、14両年度も六つの年代で1位だった。県教委は「肥満傾向は震災前の水準にほぼ戻った」とし、子どもの運動不足などを解消する取り組みの成果が出始めたとみている。

 県内の小中高校のうち、原発事故直後の11年6月時点では全体の約6割が屋外活動を制限していたが、14年5月には全体の2%程度に減少、15年5月はゼロだった。時間の経過や除染の進行に伴い、屋外活動の機会は徐々に回復してきていたが、事故直後に屋外活動を制限されたことや、仮設住宅などでの避難生活が長期化することで、運動不足が習慣化している可能性が指摘されていた。

 こうした状況を受け、県教委は福島大の協力を得て子どもの運動に関するプログラムを改定し、14年度から小学校で体育の授業の準備運動として導入。同プログラムは屋内用と屋外用の二つが用意された。屋内プログラムでは「クモ歩き」や「カニ走り」など子どもが楽しく運動できる11の動きが考えられ、組み合わせや順番も工夫された。

 さらに、本年度からは、健診や体力テスト、食習慣調査の結果などを継続的に記録する「自分手帳」を小4~高1の児童・生徒に配り、授業や家庭学習で活用しているほか、児童・生徒の運動不足や生活習慣の改善のため、教員経験者などの専門家を小中学校に派遣し、保健や食育、体育の指導などを進めている。

 【全国体力テスト】子どもの肥満改善の取り組みは、子どもの運動能力に関する調査結果にも表れ始めている。スポーツ庁が小5と中2を対象に実施した本年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)では、本県の小5女子の実技8種目の合計点が全国平均を上回るなどの結果がみられ、県教委は「全体的に改善傾向がみられる」とみている。ただ、全国的にみると依然として低水準にあるのに加え、地方別では県北と相双・いわきの両地区の平均値が低いなど、屋外活動の制限や避難生活など原発事故の影響が依然として残っている現状もみられる。