【 被災をバネに(2) 】 「復興」に重なる進路

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 「農地を無料で貸し出すなど、土地を有効活用したい。インターネットを使って町の魅力も発信したい」。広野町で3月28日に開かれた、地元の中学生、高校生らによる「子供未来会議」で、架空の町・ふたばみらいタウンの活性化策が話し合われた。ふたば未来学園高に進学した同町の大和田瑠華(るか)(15)はこの時、みらいタウンに古里への思いを重ねていた。

 瑠華は同校に進学したが、進路に迷いが全くなかったわけではない。同町は原発事故に伴い一時、緊急時避難準備区域に指定された。2011(平成23)年9月に解除されたが、住民の帰還はいまだに約4割にとどまる。同級生も多くは県内外に避難したまま。「住民よりも、原発や除染作業員のほうが多いんじゃないか」。瑠華は時々そう思う。

 島での研修、ヒントに

 「町外に出て働こうか」。そんな迷いが、地元進学の「決意」に変わる転機になったのは、昨年12月に研修旅行で訪れた島根県の隠岐諸島・海士町での経験だった。研修では、島の高校が少子化で、一時廃校寸前に陥ったこと、島外の子どもを高校に呼び込む「島留学」などユニークな取り組みで今では全国の注目を集めていることなどを学んだ。

 「島で人が呼び込めるのなら、交通の便が良い広野でも同じことができるはず」。瑠華は研修で抱いた気持ちを、未来会議の発表内容に詰め込んだ。

 「将来図」描くのは自分

 未来会議は、地元の教育関係者らによる双葉郡教育復興ビジョン推進協議会が企画。13年9月に第1回会議を開いて以降、教育がテーマになることが多かったが、この日は「町の復興」に話が及んだ。

 協議会事務局長で元富岡町教育長の庄野冨士男(66)は「これから町を復興させていくのは今の子どもたち。復興と、子どもたちの進路を切り離して話すことはできない。町の将来図を描くことで、それらを考えてもらうきっかけにしたかった」と語った。

 瑠華の夢は「社会教育主事」として広野町で働き、自身が研修で考えを深めたように、次世代の子どもたち向けにも研修などを企画し、復興を考えるきっかけをつくることだ。ふたば未来学園高では「ふるさと創造学」を学び、「復興に向けて、自分の町をもっと深く知りたい」と思う。 (文中敬称略)