壮大な歴史に思いはせ いわきで「古代エジプト美術館展」開幕

 
展示された人型木棺を見ながら古代エジプトの死生観に触れる来場者=24日午前、いわき市立美術館

 日本唯一の古代エジプト専門美術館「古代エジプト美術館 渋谷」(東京)の収蔵品を紹介する「古代エジプト美術館展」は24日、いわき市立美術館で開幕した。8月20日まで。

レリーフに見入る来場者

 「古代エジプト美術館 渋谷」以外で、同美術館の収蔵品が大規模に公開されるのは初めて。ミイラやマスク、木棺、ツタンカーメンの指輪といった遺物をはじめ、当時の生活の様子が分かるつぼや化粧用などの容器、装身具など約200点を展示している。

 企画展は、いわき市立美術館と福島民友新聞社、福島中央テレビ、古代エジプト美術館 渋谷の主催。観覧料は一般1200円、高校・高専・大学生600円、小・中学生400円。時間は午前9時半~午後5時(7、8月の金曜日は同8時)。月曜日休館だが7月17日は開館し、翌日休館する。8月14日は臨時開館。問い合わせはいわき市立美術館(電話0246・25・1111)へ。

 古代彩った史料に驚き

 いわき市立美術館で24日に開幕した「古代エジプト美術館展」では、古代エジプト文化を彩った貴重な史料の数々が並び、訪れた人たちが作品を通じて今なお多くの謎が残る古代エジプトの世界に思いをはせた。

厨子を見る来場者

 展覧会は「古代エジプトの神々と信仰」「古代エジプト人の衣・食・住」などのテーマごとに四つのコーナーに分けて開催。過去100年間に学術的な調査がほぼ行われていなかった遺跡メイドゥム(マイドゥーム)・ピラミッドでの最新調査の様子も紹介している。

 初日は展示品を収蔵する「古代エジプト美術館 渋谷」のファウンダー(設立者)菊川匡(ただし)さんによるギャラリートークが行われた。菊川さんは会場内を歩きながら展示物の特徴や歴史的な背景、人々の生活様式などを説明し「古代エジプトの美術は見やすい方向から書かれているものが多く、特徴的で存在感がある」と解説した。

 来場した平六小3年の山野辺優美さん(8)=いわき市=は「初めて見るものばかりで驚きがたくさんあった」と笑顔で話した。大学で考古学を学んでいる東日本国際大2年の安達智将さん(19)=同市=は「開幕を楽しみにしていた。歴史的に珍しく、価値のあるものが多く並び、充実した内容だった」と満足した様子だった。