義歯にならないこれだという方法は?

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。塩田博文歯科(棚倉町)の塩田博文先生が担当する歯の健康シリーズのスタートです。
義歯にならないこれだという方法は?
歯科医師 塩田 博文先生
1980年に神奈川歯科大学を卒業。同年、故郷の棚倉町に塩田博文歯科を開く。95~96年、日本歯科医師会生涯研修セミナー「無歯顎の臨床」講師。2002年より塩田義塾塾長。「実際的総義歯づくり」(わかば出版)、「歯が痛くない時読む本」(砂書房)など著書多数。
 
 

 結婚式。「トモに白髪の生えるまで」というあいさつを昔よく聞きました。これはお互いに長生きして...。それが最も幸せということなのだと人生の先輩は話されます。

 私も年を取り、まさにそのとおりと思うようになりました。さて、私のところにいらっしゃる患者さんは、総じて義歯を入れることを望みません。義歯は「老いの証し」といったところなのかもしれません。認めたくない気持ちは理解できます。どうしても受け入れていただけない方には、次のようなお話をさせていただくことがあります。

これまで一度も出ていない答え

 「絶対に義歯にならない方法があります。なんだと思いますか」と質問をさせていただきます。その答えは「よく歯を磨く」「よい歯医者さんにかかる」等々の答えが返ってきますが...。なかなか私の考える答えは出ません。残念なことに今までただの一度もありません。

 少しふざけた答えに思われるかもしれませんが、私は「早死にすることです。若くしてお迎えが来れば、義歯にならなくて済みます」と話します。長生きすれば歯を失うことにもなり、歯がなくなれば義歯を、ということになります。

 したがって、長生きできた証しとしての義歯ととらえられれば、「義歯を入れられる年まで長生きさせていただいた」と考えが変えられます。そうしましたら喜びとして受け入れることができます。

義歯で寿命を延ばすお手伝い

 さて、話は飛びますが、分かり合って愛し合って結婚した二人でも、秘密はあるものです。新婚旅行のホテルでの出来事。洗面台に義歯を発見してとても落胆し、愛妻を置いて帰りたくなった夫の話があります。

 ちょっとした油断で置き忘れたようですが、夫としては「ダマされた」と思ったのかも。でも愛している奥様への気持ちで、何もなく幸せな結婚生活をされたという話です。

 不老長寿は皆が望むことです。一日でも健康で長生きしたいものです。お肌が曲がるのも、ハゲルのも、シワができるのも、イヤなことです。しかし、運悪く若くして余命を宣告された人にとっては、白髪の人を見てあの年まで自分はナゼ生きられないのだろうかと思います。

 義歯を作る私たちは、義歯で寿命を延ばすお手伝いができていると思い頑張っております。食べ物がおいしく食べられるということはもちろん、若さを取り戻すこともできるのです。そんな大切な仕事をさせていただいていると思うだけで、私もありがたく元気になります。

努力しても歯を失うことはある

 前にも書かせていただきましたが、系統ということがありまして、努力しても努力しても歯を失うことはある訳です。それはある種、仕方のないことです。

 何か悪いことをしてそうなるのであれば仕方のないことなのですが、弱いというか早くして失うこともありますので、それを受け入れ、補うという考え方もするべきです。

 補えばある程度回復でき、健康で長寿を自分のものにできるようです。歯を失うことによって嗜好も変わります。もちろん硬い物は食べませんし、食べられません。食べるスピードも変わります。

 一緒に食事をしている方が、自分が昔好きだったものを音を立てておいしそうに食べているのは、とても辛いものがあります。

 こんな理不尽なことはありません。耐えられません。しかし、義歯はその苦しみから救ってくれるものなのです。患者さんの中には「何でも食べられる」とニッコリ満面の笑顔を見せてくださる方も結構いらっしゃるのです。

義歯はありがたいものなのかも

 「義歯にならないこれだという方法は?」という題で書かせていただきましたが、義歯は皆様が思っているように辛いところもあります。不自由でもあります。受け入れるまでかなりの時間を要するようです。

 でも義歯を入れて「若くなりましたネ」と周りの方に言われたり「電話の声が聞こえるようになった」とか「滑舌が良くなった」「最近オシャレになりましたネ」などとほめられたりもします。元気の素と私は思うようになっております。

 義歯にも感謝していただけるよう、頑張らせていただきます。

月号より