【首長に聞く】富岡町長・山本育男氏 付加価値高い農作物産地へ

 
山本育男富岡町長

 富岡町は、避難指示が出ているのが小良ケ浜、深谷両地区(町域の約7%)のみで、新年度から住民帰還に向けた除染が始まる。山本育男町長は「一刻も早く、できれば全域の避難指示解除を実現させたい。町発展に向けて、さまざまな施策に全力で取り組む」と抱負を話す。

 ―復興の現状は。
 「昨年は夜の森地区を中心とした特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が解除され、町民の帰還が始まった。小良ケ浜、深谷両地区の点的・線的拠点も立ち入りが自由となり、新年度からは特定帰還居住区域制度に基づく除染などの環境整備が進む。2月1日現在の小中学校・こども園の在籍数が136人と増加傾向にあり、子どものにぎわいが戻り始めている」

 ―復興に向けた課題は。
 「復興は道半ばだ。町内の居住者が2千人を超え、高齢者を中心に若い世代の帰還者も増えてきた。まずは帰還者や移住者を増やしていくことが大事だ。そのためには住環境や買い物環境の整備を進め、幅広い世代が『富岡で暮らして良かった』と思ってもらえるようにしたい。町のにぎわいづくりも課題で、夜の森地区ではリフレ富岡跡地の利活用に取り組み、買い物環境も整備したい。JR富岡駅周辺も商業関係の整備を進めなければならない」

 ―復興への方策は。
 「国道6号沿いに新たに産業団地を整備する計画だ。企業誘致で働く場をつくり、帰還・移住を進めていく。その際に移住相談やお試し住宅などタイムリーな情報提供を図りたい。町が整備する野菜集出荷施設が今後開所する。産業団地には野菜のカット工場が建設中で、付加価値の高い農作物の産地づくりを進める。意欲ある農業者の営農再開を支援し帰還につなげたい」