【首長に聞く】葛尾村長・篠木弘 居住人口増やしていきたい

 
篠木弘葛尾村長

 葛尾村は、基幹産業の農畜産業を支えるハード面の復興が進み、産業団地への企業誘致も実を結びつつある。一方、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域となっている野行(のゆき)地区の再生や住環境の整備などの課題は残る。篠木弘村長は「村民や移住者が安心して暮らせる村づくりに取り組んでいきたい」と話す。

 ―復興の状況は。
 「村民の帰還率は3割未満で、横ばい状態で落ち着いている。ハード面の復興は進んだ。和牛の繁殖・肥育や酪農、水稲の育苗など農畜産業の再生に向けた施設が完成し、体制が整ってきた。産業団地への企業誘致も進み、ほぼ埋まりつつある。進出企業の従業員らを受け入れる住環境の確保が課題だ。新年度中には住宅の整備が進む見通しで、居住人口を増やしていきたい」

 ―野行地区の復興に向けた取り組みは。
 「特定復興再生拠点区域(復興拠点)では農業復興への取り組みを進めている。村民と話し合いを続けながら農地の環境を整備し、営農再開を図りたい。復興拠点から外れた小出谷(こでや)地区については、特定帰還居住区域として除染と家屋解体へ復興再生計画作りに着手する方針だ。地区に隣接する浪江町と一緒に一体的な復興を進める考えだ」

 ―村内と浪江町を結ぶ県道浪江三春線小出谷工区のバイパス化事業が始まった。受け止めは。
 「バイパス化は数十年来の悲願。浜通りと中通りの交流が進み、避難地域の復興につながる。浪江町の福島国際研究教育機構(エフレイ)が本格始動すれば村への波及効果も広がるだろう。進出企業が若いIT人材を育成するセンターを整備する予定で、エフレイの事業とマッチしていると期待しており、村の関係人口の創出につなげていきたい」