【首長に聞く】広野町長・遠藤智氏 教育機関との取り組み発展

 
遠藤智広野町長

 広野町は、東京電力福島第1原発事故に伴う緊急時避難準備区域の解除から12年以上がたち、町民の帰還率は9割を超える。遠藤智町長は「生活環境を一つ一つ確立したからこそ、9割の帰還を成し得た。移住者も受け入れて新たなまちづくりに取り組んでおり、希望に満ちた未来へまい進していきたい」と語る。

 ―復興の現状は。
 「JR広野駅東側の開発整備事業は産業団地と住宅団地を整備し、移住・定住者の受け皿となるよう取り組んでいる。広野駅はJR東日本が新たな駅舎を、町がコミュニティー施設を建て『新たな広野駅』にする。町役場や広野駅周辺に学校や医療機関が広がるコンパクトシティーを形成し、安全・安心な教育環境が整った。企業誘致から雇用を呼び込み、持続可能な地域づくりにまい進している」

 ―道の駅建設予定地などを活用した「防災の駅」の整備方針は。
 「新年度に庁内で検討を進め、2025年度までに基本計画を策定する。折木地区と二ツ沼総合公園に防災拠点施設を整備する。折木地区に一時避難のためのトイレと情報発信のためのコミュニティー施設など、二ツ沼総合公園エリアにはコミュニティー施設や防災ヘリ・ドクターヘリの離着陸場などを造る予定だ」

 ―今後の復興やまちづくりの考えは。
 「教育機関との取り組みを充実・発展させていく。福島国際研究教育機構(エフレイ)に参画する機関や企業の誘致を進めたい。特に町内に拠点を置く東京大アイソトープ総合センターの研究に期待している。企業誘致を着実に進めて雇用を確保し、帰還や移住に対応する。復興・創生に向け、新たな時代の防災に強い『安全・安心な共生のまちづくり』に力強く取り組みたい」