【首長に聞く】川内村長・遠藤雄幸 交流人口拡大村を盛り上げ

 
遠藤雄幸川内村長

 川内村は2012年1月にいち早く帰村を宣言し、帰還率は83%に上る。新産業育成に力を注ぐ中、遠藤雄幸村長は「避難者がいるので復興との言葉をなくせないが、いつまでも被災地との認識ではない。新たなステージに入り、したたかに前向きに生きるための村づくりを進める」と語る。

 ―村の課題は。
 「帰還率は83%で、避難を続ける村民の多くが子どもたちや若い世代だ。若年層の帰還促進が課題だ。人口減少や少子高齢化が進む中、経済的に支援して移住・定住の成果も出たが、近年は地域間競争もあり、伸びていない。昨年は5世帯にとどまり、移住・定住も課題だ。新年度の予算規模は50億円台で、震災前の規模にソフトランディングさせる予算対応も課題だろう」

 ―新産業の状況は。
 「ワイン醸造や生食用ブドウ、イチゴ栽培など新産業が育ち、最近はピーマンに挑む人もいる。震災前にない動きが増えるのは明るいニュースだ。インフラ整備のうち国道399号や県道(小野富岡線)の整備が急ピッチで進む。村が結節点のため人的交流や物流の可能性が高まっている。『川内の郷かえるマラソン』などのイベントを継続して人を呼び込み、交流人口拡大で村の盛り上げにつなげる」

 ―新たな取り組みは。
 「村役場新庁舎整備に向け、新年度は基本方針や基本設計を示す。旧川内中周辺の利活用の方向性も示したい。『いわなの郷』のキャンプ場を整備し、アウトドアのニーズに応える施策にも取り組む。環境と地域経済が共存でき、時代の変化に対応できる村にしたい。穏やかに生まれ、生活し、年齢を重ねられる村にするための施策が求められる。小さな村のメリットは小回りが利くことなので、スピード感を持って対応したい」