【首長に聞く】田村市長・白石高司氏 畜産で農業の大きな循環を
田村市は、都路地区の避難指示が解除されて4月で10年の節目を迎える。畜産業の施設整備や移住支援を進めており、白石高司市長は「まずは都路地区を知ってもらうことが大事だ。そのためにも情報発信が課題となる」と話す。
―都路地区の地域再生に向けた取り組みは。
「複合商業施設が2025年中の開業見通しだ。JA全農福島の乳牛と肉用牛の牧場『復興農場』は新年度内に完成する。畜産と稲作を組み合わせた稲発酵粗飼料(稲WCS=ホールクロップサイレージ)の作付けを推進するなど畜産を通して農業の大きな循環を生み出していきたい」
―復興の進み具合は。
「復興ビジョンに沿って復興が進みつつあるが、課題が出る半面、新たな良い素材も出てきている。周遊観光や、地元の食材で観光客をもてなす場所づくりが必要だと考えており、市が持っている魅力を上手に組み合わせていきたい。ただ、林業は今も事業が再開できないままだ。都路地区に林業や農業分野への就業を目的として移住する人を増やすため、針葉樹と広葉樹の再生事業や林業の活性化に引き続き取り組んでいきたい」
―都路地区の帰還率は9割台。今後の重点施策は。
「高齢者は戻ってきているが、若い世代、子どもが少ないのが課題だ。都路小・中では新年度から小規模特認校制度を開始し、市内のどこからでも通えるようにする。少人数教育の良さを生かした特色ある教育活動を通して、子どもたちの学びの充実と地域活性化が図られることを期待する。移住・定住には交流人口の拡大が大事だ。キャンプ場のグリーンパーク都路には昨年、約2000人が来場した。都路地区を知り、都路地区に来てもらう機会をつくることで移住・定住につなげたい」
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