【首長に聞く】川俣町長・藤原一二氏 復興へのまちづくり転換点

 
藤原一二川俣町長

 川俣町は、東京電力福島第1原発事故で山木屋地区に出された避難指示が2017年3月末に解除された。山木屋地区では移住定住の促進や営農再開が依然として課題だ。全町的な復興を目的とした貸事業所が25年春、町中心部に完成を控え、復興の前進が期待される動きもある。藤原一二町長は「今年は復興を推し進めるまちづくりの大きな転換点となるだろう」と語る。

 ―復興の状況や課題は。
 「復興は大いに進んでいるとの実感がある。県が『ふくしま復興再生道路』として整備し、昨年開通した町内の国道114号、国道349号は復興の象徴の一つ。山木屋地区で移住者や若い世代を中心に新規就農の動きがあることも明るい話題だ。一方、除染で出た土壌を運び出した仮置き場の原状回復にはまだ時間がかかる。仮置き場が元の農地に戻って初めて山木屋地区の農業再生の姿が見えてくる」

 ―町中心部に整備する貸事業所の展望は。
 「山木屋地区を含め、まちづくりは岐路に立っている。貸事業所は中心市街地活性化を通じた町全体の復興の切り札となる。貸事業所には共同で働く場所のコワーキングスペースや貸しオフィスを備える。サロンや自治会活動の場所としての使用も想定しており、避難者や移住者らの交流を促進しつつ、にぎわい創出の核となる施設を目指す」

 ―復興をどう進めるか。
 「山木屋地区では復興拠点商業施設『とんやの郷』を中心とした地域交流が盛んだ。施設で毎月開催しているマルシェイベントや冬の天然スケートリンク、ソバ栽培など山木屋特有の地域資源が豊富にある。こうした資源を移住者らの新たな視点を加えて磨き上げ、魅力を発信していく。その上で、川俣に人を呼び込む流れを生み出していきたい」