【首長に聞く】楢葉町長・松本幸英氏 余暇を充実、移住・定住に力

 
松本幸英楢葉町長

 楢葉町は、避難指示解除から8年半を経て生活環境や復興のハード事業はほぼ整いつつあるが、町内居住者は住民登録の約7割にとどまる。松本幸英町長は「さまざまな分野で担い手不足に直面している。打開するため新しいまちづくりを目指し、移住・定住施策に力を入れる」と話す。

 ―復興の方策は。
 「移住・定住施策では相談窓口のコドウや地域活動拠点施設『まざっせ』を整備し、仕事や住まいがあり、充実した余暇が過ごせるまちを目指す。天神岬や温泉施設の魅力を最大限活用し、移住したいと思ってもらえるまちづくりを続けたい。新たな挑戦であるサツマイモの一大産地化の取り組みが軌道に乗り始め、作付面積を広げて干し芋などを製造している。特産のユズを使ったポン酢なども販売しており、特産品開発をさらに進めて販路拡大につなげる」

 ―Jヴィレッジ近くに整備中の多機能拠点の状況は。
 「拠点には避難場所や地域交流の『防災・交流エリア』、散歩やランニングなどができる『健康・観光・スポーツ』の二つのエリアを設ける。エリアを東西に結ぶ道路を整備し、Jヴィレッジと道の駅ならはの周遊性を向上させて相乗効果を高める。子育て世代や若年層の帰還者、移住者を増やすため、Jヴィレッジの来訪者を町内に導き、にぎわいや活性化を創出したい」

 ―今年設立を予定する廃炉事業協同組合への考えは。
 「町は原発との共生によって(国の税財政制度に基づく)公共用施設整備や産業活性化措置などを受け、地域経済発展の道を歩んできた。東京電力福島第2原発の廃炉で地域経済への影響が懸念される。数十年続く廃炉事業に地元企業が関わることで、地域経済の継続的発展につなげていくことが重要と考えている」