福島「新4区」巡り火花 立候補予定者、西郷訪れ「足固め」

 

 会津全域を範囲とする福島4区に、3区から県南の西郷村が編入され、初めて行われる衆院選。衆院解散後、初めての週末を迎えた30日、一部の立候補予定者は西郷村を訪れ、「足固め」を始めた。一方、村民からは「候補者が分からない」との声も聞かれ、立候補予定者や党関係者は戸惑いを抱えながら「新4区」の戦いに挑む。

 【4区】西郷村民「人物像分からず」 

 「(4区の立候補予定者にとって)西郷村では全員が新人。有利も不利もない」。立候補を予定する民進系の小熊慎司氏(49)の後援会幹部は会津若松市の事務所開きで支持者を前に声を張り上げた。

 西郷村は、小熊氏陣営の選対本部長に就任する渡部恒三元衆院副議長が中選挙区時代に強固な地盤を築いていた場所。前回衆院選でも民進系の玄葉光一郎氏(53)が他候補に大差を付けた。今回も有利との見方が広がる中、小熊氏の後援会幹部は「同じ結果とは言い切れない」と、渡部氏の後援会を足掛かりに浸透を図る考えだ。

 自民党公認で立候補を予定する菅家一郎氏(62)は西郷村に入り、地元有力者と打ち合わせなどをした。区割り変更が国による"数合わせ"と感じる村民がいることを意識し、菅家氏は「村内には政治不信がある。村民の声が国政に反映できることを訴えていきたい」と語った。

 衆院選で初めて菅家氏を支えることになる党西郷村支部は、村内の事務所開きを翌日に控え急ピッチで準備を進めた。「今後の細かい日程を早く詰めなければ」と仁平喜代治支部長。村にとってはなじみのない候補者となるだけに、支部としても有権者への周知は急務だ。

 関係者が衆院選へと走る中、30代男性は「人物像も分からず、今回の選挙に関心がない」と話し、40代女性は「野党が混乱していて投票する政党がない。何を参考に投票すれば良いのか分からない」と困惑した様子だった。

 共産党の新人古川芳憲氏(66)と社民党の新人渡辺敏雄氏(68)も西郷村の得票を重視しており、党組織を中心に浸透を目指している。

 【3区】危機感共有、支持者と結束

 一方3区では、立候補を予定する民進系の玄葉光一郎氏が東京で新党「希望の党」に合流する候補者の調整作業などに追われた。玄葉氏が不在の間は「支持者が地元を守る」ことで一致。後援組織幹部は「(区割り変更でも)条件は相手も同じ。組織で危機感を共有していく」と力を込めた。

 自民党の新人上杉謙太郎氏(42)は、矢吹町で選挙区の会議に出席、支持者との結束を強めた。上杉氏は「西郷村が4区に移ってしまい、影響が出る。票がないところからのチャレンジと考え、若い世代を中心に支持拡大に努めたい」と意気込んだ。

 共産党の立候補予定者橋本健二氏(69)は、関係者と今後の選挙戦について打ち合わせをした。今後、各地域を遊説し、政策を訴えていく。