【避難区域再編】 指示解除でも動き、鍵握る社会基盤整備

 
【避難区域再編】 指示解除でも動き、鍵握る社会基盤整備

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域の再編は、今年8月の川俣町山木屋地区で対象11市町村の再編が全て終了した。ただ原発事故から1000日を迎えても住民帰還の鍵を握る国の直轄除染は進んでいない。国は中間貯蔵施設の建設に向け第1原発周辺の土地を国有化する方針を固めるなど、除染をめぐる動きは新たな局面を迎えている。

 区域再編は昨年4月から、田村市都路地区、川内村、南相馬市、飯舘村、楢葉町、大熊町、葛尾村、富岡町、浪江町、双葉町、川俣町山木屋地区の順で進んだ。避難指示解除準備、居住制限両区域では事業活動が再開できるなど制度上は復興への道が開かれた。県も避難区域で事業再開する企業に税制優遇措置を講じる支援策を打ち出しているが「放射能への懸念から再開を足踏みする企業も目立つ」(県関係者)のが現状だ。

 事業の加速化が課題

 避難指示解除に向けての動きも出始めた。都路地区の避難指示解除準備区域について国は当初、解除時期を11月1日に設定したが、再除染を求める住民から反発を受け、解除を先送りして来春の解除をめどに調整している。南相馬市は、国による除染やがれき処理の加速化を促すため避難指示解除準備、居住制限両区域の避難指示解除目標を2016(平成28)年4月とする方針を打ち出した。

 また楢葉町も来春に帰町の時期を判断する。ただ判断に当たっては、インフラの復旧や雇用の確保、町内での商業施設の再開などの環境がどれだけ整うかが鍵となっている。国は、早期帰還・定住促進に向けた工程表を発表し、年限を区切った復興事業の推進を示したが、実現に向けては、いかに事業速度を上げていくかが課題になる。