【食物語・クリームボックス(下)】 40年間...市民とともに 全店制覇も続々

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丸い形のパンが特徴の「フォンデュ」のクリームボックス。抹茶やチョコ、モモなど5種類の味が楽しめる=郡山市

 郡山市内で車を走らせていると、同じデザインののぼり旗を目にする。パン屋の店先に掲げられた旗には「郡山クリームボックススタンプラリー2016参加店」の文字。クリームボックスを愛する市民が結成した「郡山クリームボックス楽団」が行っているスタンプラリーの告知旗だ。

 話を聞こうと、楽団長で同市にある派遣会社社長の鈴木康博さん(42)を訪ねた。楽団はクリームボックスを通じた町おこし事業を手掛け、ラリーはその一つ。「クリームボックスの食べ歩きを町おこしのツール(手段)にしようと4月から始めた」という。

 ラリーは誰でも参加可能。各店舗でクリームボックスを含む商品を2個以上購入してスタンプを集める。12月末までの期間中、加盟18店舗全てのスタンプを集めた先着500人に、高柴デコ屋敷(郡山市)の張り子人形の製法で作られた和紙製「郡山デコクリームBOX」をプレゼントする。7月6日時点で全店制覇は280人に達し、県外の"つわもの"もいるほどだ。「ラリーが集客にもつながっている」と鈴木さんは手応えを感じている。

 ◆新しい味が誕生

 クリームボックスの誕生から40年がたち、新しい味も生まれているのではないか。疑問を解決するため同市新屋敷のパン屋「フォンデュ」に向かった。迎えてくれたのは店長の渡部哲也さん(47)。2009(平成21)年の開店当初は作っていなかったが、「クリームボックスを販売していないのか」との客の声に押され、半年後にメニューに加えた。同業者から作り方を教わっていたこともあり、商品化に手間取ることはなかったが、「郡山ではこれほどまでに支持されているのか」と驚いた。会津若松市出身の渡部さんにとって衝撃的な出来事だった。

 渡部さんのクリームボックスは形に特徴がある。「他店との差別化を図り、かわいらしいデザインにしよう」とパンの形を丸くした。発売後すぐに1番人気となり、試行錯誤を重ね、一般的なクリームに抹茶、チョコ、モモ、ミカンを加えた5種類を開発した。

 食べなければ話にならないと5種類全てを購入。抹茶は味に深みがあり大人にお薦め。チョコは甘みを抑えながらも濃厚だ。モモは果実の風味をしっかりと感じさせ、ミカンはかんきつ系のさわやかな後味が印象的だ。甲乙つけがたい。

 ◆研究で人気拡大

 同市西ノ内のパン屋「ベルボーイ」はイチゴ味やアーモンド入りを販売する。店長の山寺伸二さん(59)は「クリーム自体がおいしいので、他の味にも応用できる」とクリームボックスの可能性について言及する。なぜこれほどまでに支持されているのか。「ロミオが40年前に発売した時に爆発的な人気となった。その後、市内のパン屋がこぞって研究して販売したことで、さらに人気が広がったのでは」と山寺さんはみている。

 クリームボックスが県外でも食べられていると思っている市民は多い。「専門店があってもいい」と話すのは渡部さん。パン職人が発したひと言が市民にとっていかに身近な存在なのかを物語る。これほど愛されるご当地パンは他にはない。

【食物語・クリームボックス(下)】

 【スタンプラリー参加店】《1》手作りパンの店 ウォルト《2》手造りパン工房 クレール岩瀬書店内《3》花泉パン店《4》ぐりむわーるど富田西店《5》モン・パン《6》フォンデュ《7》伊東パン パン・デ・プレジール《8》パン工房 Buono Buono本店《9》手づくりパン ベルボーイ《10》大友パン店さくら通り店《11》ポンパドウル郡山店《12》ガトーナカヤ《13》チロル 手づくりのパン《14》ふたばやパン店《15》小麦っ子《16》ベーカリーバンビ《17》モン・リブラン安積店《18》パル・ピーターパン

【食物語・クリームボックス(下)】

(写真)パンにこんもりと盛られたクリーム。店によって異なる味も魅力の一つだ

 ≫≫≫ ひとくち豆知識 ≪≪≪

 【知名度アップに貢献】郡山クリームボックス楽団はクリームボックスを通じて郡山市の魅力を発信しようと、会社員や公務員など幅広い職種の若い世代が集まり、2014(平成26)年6月に結成された。団員は約20人。販売店を書き込んだ「郡山クリームボックスマップ」を作成したほか、市内外のイベントなどに出店して手作りのクリームボックスを売っている。同市で行われた「B―1グランプリ」の会場にもブースを設け、クリームボックスの知名度アップに貢献した。

 【家庭でも作れるレシピ】郡山市の「フォンデュ」店長の渡部哲也さんに、家庭でもできるクリームボックスの作り方を聞いた。10個分のクリームを作るための材料は牛乳と生クリームを各250ミリリットル、砂糖75グラム、コーンスターチ35グラム、バター12.5グラム。(1)砂糖とコーンスターチをかき混ぜ滑らかにする(2)牛乳と生クリームを鍋に入れ、かき混ぜた砂糖とコーンスターチを入れる(3)火にかけ、焦げないよう泡立て器などでかき混ぜ続ける(4)沸々としたら火を止めてバターを入れ、再びかき混ぜる(5)出来上がったクリームを冷まして固まったら食パンに塗り、オーブンで軽く焼いて完成。