【衆院選・最前線ルポ】経済恩恵実感乏しく 次の一手を商都訴え

 

日経平均株価が約21年ぶりに2万1000円の大台を超えた。安倍政権が株価や経済指標で好調とアピールする経済政策「アベノミクス」。経済県都と呼ばれる郡山市を大票田とする福島2区の有権者はどう評価し、各陣営は何を訴えるのか。(敬称略)

 「道半ば 良い方向に」

 郡山市で鉄工業「東栄産業」を切り盛りする社長の安藤東栄(75)は「復興に関連した仕事は一段落した感がある。先行きには不透明感があり、新たな対策が必要だろう」と現状を語る。

 建設資材の販売を通じ古里の復興に尽力してきた。高い有効求人倍率も「私たちの仕事と働きたい人から求められている職種と開きがあり、人手不足は解消できていない」と、数値と現実のギャップを指摘する。地方での実感は乏しい。

 「仮に実感がないからといって対案のない勢力にバトンタッチしていいのか」。自民前職・根本匠の選対副本部長を務める高橋良和(75)は力を込める。「道半ばだが、良い方向になっているのは間違いない。実感が出るよう与党のど真ん中で政策を打ち出せる候補者は私たちの強みだ」。復興や金融などの政策立案で党要職を務める根本は、街頭や集会で「政策本位の政治で福島から日本を動かす」と訴える。

 自信を見せても、陣営に緩みはない。2009(平成21)年8月の「政権交代選挙」で苦杯をなめた経験がある。高橋は「わずかな緩みも許されない。お願いしない限り、票は出ない。攻めて、攻めて、攻めまくるが合言葉」と語る。

 支援枠組み変わらず

 選挙事務所に「1日10人の電話かけ」のスローガンを掲げ、与党ベテランの厚い壁に挑む希望新人の岡部光規陣営。選対本部長の佐久間俊男(62)は「中小零細企業では、アベノミクスの実感はない」と指摘する。「郡山は、経済の中心地として県内をけん引する立場。既存の企業を守りながら、医療機器や再生可能エネルギー、ロボット産業など新規事業の進出に取り組み、地元企業との連携を図るべき」と語る。

 事務所の壁には希望の党代表の小池百合子の「為書き」が鎮座するが、民進党県連や民進党最大の応援団の連合福島の「為書き」も並ぶ。佐久間は「支援の枠組みは変わらない。候補者の思いを有権者に伝えたい」と浸透を図る構えだ。

 共産新人の平善彦の選対事務局長の影山静江(65)は「何よりも生活と経済に影響を与える消費増税は反対。税制を変えて中小企業を支える」と訴える。

 日本維新の会新人の西村恵美は草の根の戦い。「復興バブルがあるうちに次の産業を育てるべきだった。やっていない理由はしがらみ」と持論を語る。