水際阻止/金融機関が統一対応 STOPなりすまし詐欺

 
水際阻止/金融機関が統一対応

窓口で応対し、なりすまし詐欺の被害を未然に防いだ岡田さん

 ◆県警と連携、最後のとりで

 塙町の東邦銀行塙支店に2月19日午後1時すぎ、70代女性が困惑した表情で訪れた。同支店調査役の岡田健一さん(40)は女性に声を掛け、通常窓口ではなく、融資やローン専用の窓口に案内、応対した。

 話を聞くと、製薬会社と老人施設職員を名乗る男から3日間にわたって電話があり、「振り込まれた老人ホームの入居代金を返還する」という身に覚えのないことの手続きとして、500万円の送金を要求されていた。女性は「老人施設に迷惑が掛かる」と思い、送金しようとしていた。

 ■窓口で慎重に

 「電話だけのやりとりや高額な手続き費用を要求していることなど不審な点が多く、『なりすまし詐欺』の可能性が高い」。岡田さんは上司と相談、すぐに棚倉署へ連絡した。同署によると、入居の契約書類がなく、男との電話の内容から、なりすまし詐欺とみられ、女性は窓口で被害を免れた。岡田さんは「こうした対応は初めてだったが、冷静にじっくりと話を聞いたことで慎重に対応できた」と振り返る。

 ■チェックシート

 県内の金融機関窓口で昨年1年間に食い止めたなりすまし詐欺は74件(前年比43件増)、約2億2647万円(同1億2712万円増)で過去最高を記録した。

 県警と県内の全金融機関は1月下旬、窓口での水際阻止に向けた協定を締結、連携強化策を打ち出し、利用者への応対や警察への通報などで金融機関が統一基準を設けた。

 「電話番号が変わった」など、これまでの犯行手口を参考に作成したチェックシートを使用して声を掛け、不審点を洗い出して疑いがあれば、通報する。静岡県警が振り込みまでの時間稼ぎ策として始めた「現金の預金小切手化」も協定に含めた。

 県警によると、金融機関の窓口が「最後のとりで」となり、被害を防いだケースは協定締結後、10件、約2500万円に上っている。