新規23件、継続35件採択 福島県、イノベ構想実現へ補助金

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 県は27日までに、浜通りを新産業の拠点にする福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の実現に向け、技術開発を目指す企業を支援する「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」に新規23件、継続35件の計58件を採択したと発表した。

 新規23件の約8割は、原発事故で避難指示が出た12市町村の事業者で、避難指示解除に伴い構想参入を目指す事業者の増加がみられた。

 同補助制度は、浜通り15市町村に本社や生産拠点がある事業者や、地元企業と連携して研究する全国の企業を対象にしており、昨年度始まった。

 昨年度採択された44件のうち、35件が継続して研究開発に臨むほか、本年度新たに23件が研究開発に着手する。

 昨年度は採択企業の大半がいわき市の事業者だったのに対し、本年度は川俣、飯舘、浪江、大熊、富岡、広野の各町村の事業者が初めて採択を受けるなど、避難町村の事業者の動きが活発化。避難12市町村事業者の採択件数は18件で、新規全体の78%に上った。福島相双復興官民合同チームによる支援事業者も13件あった。

 採択事業者の分野別内訳はロボット19件、エネルギー7件、環境・リサイクル10件、農林水産業9件、環境回復・放射線4件、医学(医療機器など)9件。

 このうち新規ではロボット分野で、小型無人機(ドローン)を使って地形や植生に対応した放射線量分布を解析し、風評払拭(ふっしょく)や住民帰還につなげる研究(富岡)や、赤外線カメラを搭載した無人航空機(UAV)によるイノシシなどの生息状況の観測システム開発(浪江)などが採択された。

 継続では、収穫予測分析のクラウドシステムを開発し、旬の幅を広げて「儲かる農業」の生産方式を確立する研究(いわき)、阿武隈・浜通りエリア風力発電構想を見据えた風力発電タワーの実用化(同)、介護施設で使う運搬ロボットの開発(南相馬)などが採択された。

◆8月21日まで2次公募 

 県は、「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の2次公募を始めた。8月21日まで。

 補助率は、中小企業が補助対象経費の3分の2、大企業は2分の1で、いずれも1事業計画あたり7億円を上限に補助する。

 応募方法などの詳細は県産業創出課のホームページ(http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/32021b/29jituyoka‐hama2.html)へ。