震災・原発事故後の心の健康分析 福島学院大、エフレイ委託研究

 

 福島学院大と福島国際研究教育機構(エフレイ)は、原発事故の影響を受けた子どもと親のメンタルヘルス向上に向けた支援プログラムを開発する。同大の内山登紀夫副学長(福祉学部福祉心理学科教授)が震災直後から積み上げてきた約4千人分の調査データを分析するとともに、新たに追跡調査を加えて経時的な変化を把握し、中長期的な支援の在り方を検討する。

 桜田葉子学長と代表研究者の内山副学長が11日、明らかにした。同日までにエフレイと研究に関する委託契約を結んだ。福島大や大正大、英バース大などの研究者と協力し、最大7年間で取り組む。

 南相馬市と双葉郡8町村の計9市町村の居住者を対象とし、避難先から帰還したり、移住したりした親子にアンケートで聞き取りし、乳幼児健診のデータも掛け合わせてメンタルヘルスへの影響を分析する。

 内山氏が2011年4月から続ける調査では、乳幼児から小学生まで約4千人分のデータがある。これらの分析のほか、新たに中高生を対象に心身の発達状況を調べる。これまでの調査では親の心の変化が子どもに影響することが分かっており、親のメンタルヘルスについても調べる。原発事故で避難を強いられていないなど、比較的影響が小さい南会津町の親子にも聞き取りし、データを照らし合わせる。

 福島市の同大内に研究に取り組む「福島子どもと親のメンタルヘルス情報・支援センター」を設置する。また7月をめどに、浜通りに現地拠点を開設し、将来的には親子の交流拠点としても利用できるようにする。

◆主な取り組み 
・子どもの発達と保護者のメンタルヘルスの経時的変化の調査
・親子と支援者の支援サロン、交流の場の設置
・発達障害を含む子どもを支援するための教材や支援システムの開発
・多様な子どもを支援するための人材養成と研修システムの開発
・情報発信、普及啓発