激しさ増す「集票合戦」 衆院選終盤戦へ、福島県内各党の思惑交錯

 

 衆院選は終盤戦に差し掛かる。福島県内5小選挙区の17候補による「集票合戦」は激しさを増す。各候補者、各陣営を支援する県内政党幹部の胸中には手応えと誤算が交錯する。県内政党は戦略の見直しなどを迫られている。

 17日午前、自民党県連の吉田栄光幹事長は県庁の会派控室で1~5区の各候補の選対幹部を務める県議らから情勢報告を受けた。

 報道各社が実施した衆院選の序盤情勢調査はいずれも自民、公明両党の優勢を伝える内容だったが、吉田幹事長は自民にとって複数の激戦区を抱える本県の現状に危機感を抱く。終盤戦は無党派層への浸透を急ぐ考えだ。「土俵に上がりがっぷり四つに組んだところで、勝負はここからだ」。控室にげきが響き渡った。

 県内小選挙区の希望の党候補と無所属候補を支援する民進党県連も、亀岡義尚幹事長らが県庁の会派控室で今後の戦略を協議した。希望、民進両党の合流交渉の中で、希望代表の小池百合子東京都知事が候補者を選別する「排除の論理」を持ち出したことが希望の勢いをそいだと分析。その上で、亀岡幹事長は「野党側への揺り戻しが必ずある。希望への支持も回復基調だ」とハッパを掛け、巻き返しの鍵を無党派層獲得に絞り、対応を求めた。

 他党の幹部も終盤のてこ入れに躍起になる。  公明党は比例東北の2議席死守と小選挙区の自民候補の支援に懸命だ。今井久敏県本部幹事長は「比例の2議席に届いていない」と見る。今後は自民との選挙協力などを加速させる。

 共産党は、比例東北の票の上積みや野党共闘が実現した選挙区の支援強化に乗り出す。久保田仁県委員長は「安倍政権への批判に対する反応はいい。これを追い風にする」と強調する。

 社民党県連の紺野長人代表は自民や希望が改憲を打ち出すことで「護憲を掲げる社民の存在感が際立っている」と分析する。紺野代表は支援労組との連携を強化する方針を示す。