ふたばいんふぉ閉館 5年超にわたり双葉郡を発信、交流の場にも

 
閉館に合わせた記念写真に納まる関係者ら=富岡町

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の被害を受けた双葉郡の被災状況や復興に関する情報を発信してきた富岡町の民間施設「ふたばいんふぉ」が30日、閉館した。5年超にわたり情報発信を担ってきたが、双葉郡の全8町村で住民が居住するようになり、公設の情報発信施設もできたことなどから一定の役目を果たしたと判断した。

 双葉郡の住民有志でつくる民間団体「双葉郡未来会議」が2018年11月に開館した。双葉郡8町村のパネル展示などの情報発信をはじめ、特産品や6次化商品、関連グッズの販売のほか、被災地視察や住民らの交流の場として使われ、年間5千人程度の利用があった。震災の教訓を伝える「3・11伝承ロード」の構成施設にも登録されていた。

 最終日は双葉郡の住民や関係者らが集まり、近況を報告し合った。双葉郡未来会議代表理事の平山勉さん(57)=富岡町=は「震災後の時代の流れに身を置き、歴史を見つめ、情報発信などにやりがいを感じてきた。ただ、民間施設の役目は終えた思いがある」と振り返った。

 平山さんは震災後、同町の国道6号の歩道橋に「富岡は負けん」と書いた横断幕を掲げ、町民を鼓舞したことで知られる。また、ホテル経営を通して復興にも寄与してきた。今月の町議選で初当選を果たし「次は町議として富岡に漂う停滞感を吹き飛ばし、復興を前に進めたい」と意気込む。

 展示物の一部は同町のとみおかアーカイブ・ミュージアム、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館に寄贈する。ふたばいんふぉ跡地は民間企業のテナントに利用される。